ペレット堆肥

徳之島町の堆肥センターで製造された「ペレット堆肥」

キビ用など18銘柄販売
利用拡大へ比較実証も

 肥料価格高騰対策として畜産が盛んな県内では、家畜排せつ物の利用促進が図られている。開発されたペレット堆肥などを配合した低コスト肥料は奄美群島の基幹作物サトウキビなどの専用として現在18銘柄が販売されており、さらなる利用拡大へ県は従来の肥料との比較実証などに取り組んでいる。

 完熟牛ふん堆肥などの有機物を円筒形状に圧縮形成するのがペレット堆肥。ペレット化することで取り扱い性や運搬性が向上する。奄美では徳之島町が、環境保全型資源リサイクル装置整備事業(町単独)で、同町堆肥センターにペレットマシーン一式を導入し、ペレット堆肥の製品化を実現している。

 JA県経済連と県農業開発総合センターとの連携により開発されたペレット堆肥など配合の低コスト肥料は、本土では水稲や茶など用として販売。比較実証のほか、堆肥割合の高い肥料の開発なども進められている。また、県経済連の取り組みでは、JA全農みやぎとの広域流通も。鹿児島からはペレット状にした堆肥を宮城へ、稲作が盛んな宮城からはロール状に巻いた稲わらを鹿児島へと両県のJAで国内資源が活用されている。

 肥料価格対策では、コスト上昇分の7割を支援する国の措置に合わせて県は上昇分の一部支援を行ってきた。さらに国は化学肥料の2割低減に向けた取り組みを定着させるため、堆肥や国内資源を活用した肥料の利用拡大に取り組む地域の支援もしている。

 なお県の家畜排せつ物利用促進計画(2021~30年度までの10年間)によると、大島地域(奄美群島)については▽今後も肉用牛の生産基盤拡大が見込まれる中、地域環境に配慮した経営が求められており、環境と調和した農業の普及・定着や園芸振興及び土づくりの観点から、牛ふんを主体とした堆肥の需要は増加すると期待▽価格・品質面で耕種(サトウキビなど)農家のニーズに即した堆肥を生産するため、良質堆肥の生産に必要な施設整備を促進するとともに、既存堆肥センターなどの能力を最大限発揮できるよう、関係機関が連携して地域の堆肥生産体制を構築―など挙げている。