戦中・戦後料理に挑戦

サツマイモの皮むきにてこずる子どもたち(26日=住用公民館)

「昔の人は頑張った」
住用町で体験活動 イモの皮むきに苦戦

 奄美市住用町の住用公民館で26日、戦中戦後の島の食事や遊びを子どもたちに伝える、同市主催の「語り継ぐ 次世代へ~昔の食と遊びを体験しよう~」があった。ソテツの実のナリ粉を使ったおかゆ「ナリガイ」やサツマイモの餅天ぷら作りなどを体験、紙飛行機や紙風船づくりにも挑戦した。同市内の小中学生13人が参加した。

 昔の料理作りを指導したのは、奄美市文化財保護審議会会長で島料理愛好家の泉和子さん(72)。同市名瀬地区食生活改善推進委員6人も協力した。

 泉さんは「ナリガイは島の富裕層が食べていた。貧しい人は(ソテツの幹を使った)シンガイを食べるしかなかった」「米が少なくサツマイモが常食。食べあきないためにさまざまな工夫をした」と当時の食事情を話した。ナリに含まれる有毒物質サイカシンの説明も行った。

 ナリガイづくりは、ボウルに入ったおかゆにナリ粉を入れ、とろみがつくまで時間をかけて混ぜていった。餅天ぷらの仕込みとなるサツマイモの皮をむく作業は、てこずる様子があちらこちらで見られた。約2時間をかけ、ナリみそなどを使った茶うけ「イュミスウ」(おかずみそ)など5品を完成させた。

 朝日小5年・仁田尾乃愛(にたお・のあ)さん(11)は「サツマイモの皮をむくのがこんなに難しいなんて」、東城小5年・西結菜さん(10)は「かゆが水っぽくてとろみがつかない」と悪戦苦闘していた。

 朝日小2年・政碧空(つかさ・そら)君(8)は「かゆは食べたことがないけど、料理はすごく楽しい。昔の人は、こんな料理を食べて(生き残り)頑張っていると感じた」と、しっかりした口調で話した。

 泉さんは「当時の食生活を感じてもらえたと思う。食の観点から歴史にも触れてほしい」と語った。