元横綱白鵬(宮城野親方)ら 徳之島で交流

中学生らに「夢を持つことが大事」とエールを送った宮城野親方ら=28日、伊仙町ほーらい館

闘牛の徳之島最強王者「黒龍王」との撮影会もあった

「努力すれば運がくる」
壮絶・栄光の相撲人生語る

 【徳之島】大相撲の宮城野親方(元・第69代横綱白鵬)と部屋の力士ら一行3人が28日から徳之島入りして、伊仙町の中学生たちを対象に講演した。16歳で体重わずか62㌔にして角界の門をたたき、血のにじむ努力で精進した壮絶かつ栄光の相撲人生を回顧し、「努力すれば運はくる。多くの夢を持つことが大事」などとエールを送った。名物の闘牛全島一王者と対面し、地元のちびっ子力士や関係者とも交流を深めた。

 徳之島観光連盟と関係町と連携し、宮城野親方一行と島内相撲関係者や児童生徒らとの交流、自然環境・伝統・文化・おもてなしの精神の素晴らしさを共有するのが目的。同親方の「徳之島観光大使」就任も打診しており、相撲文化と闘牛文化の融合による新たな魅力・価値の造成可能性などを目指し招へいした。

 宮城野親方は2006年の同島巡業(当時大関)以来2度目の来島。徳之島空港では、森田弘光天城町長や大久保明伊仙町長ら関係者が横断幕を掲げて出迎えた。伊仙町の黒糖製造工場やかやぶき屋根の飲食施設「やどぅり」では、島らしい伝統の味も満喫した。

 講演会は同町ほーらい館であり、町内3中学校の約220人が来場した。演題は「夢」。徳之島については「(17年前の)巡業・相撲トーナメントで優勝、翌年に横綱になり、私にとっては縁起の良い島」。入門当時の体重62㌔克服に「まずは食べる稽古」に集中させられ1か月半で18㌔増やしたこと、相撲に勝つため死にもの狂いでトレーニングをしたことなどを語った。

 そして「いつも口の中で血の味がした。口が切れているわけでもないのに、原因が分からなかった。引退した昨年、原因がやっと分かった。人間は自分の肺のキャパ(能力・容量)を超えて追い込みすぎると、肺の毛細血管が傷つく。文字通り〝血のにじむ努力〟をしていたことが分かった」と振り返った。

 栄光の相撲人生「3つの思い出」には、①19歳で横綱朝青龍に勝った金星の一番②双葉山の69連勝に挑んで敗けた一番③2年前に相撲人生最後の45回目優勝(歴代1位・ギネス世界記録)の達成―を挙げた。

 13年前に4場所連続全勝優勝した際の会見も引用。「私はただ運があっただけ。運は努力した人にしかこない。いろんなことに興味を持って行動し、頑張ることで運はくる」。その上で「夢は一つではなく、たくさん持つ。夢をかなえたい気持ちが強すぎると精神的にだめ。大きな心で努力すれば夢は必ずかなう」とエールを送った。

 犬田布中3年の松田允(まこと)さんは「とってもすごい方だと思った。将来の夢や目標はまだ決まっていないが、元横綱を見習って何事にも努力し、まずは来年の高校受験に頑張りたい」と話していた。

 同館広場では、闘牛の全島一王者「黒龍王」(伊仙町面縄)を交え撮影会も。同町相撲場では帯同の力士2人が相撲スポーツ少年団員らに胸を貸すなど交流し、夜は約80人が参加した歓迎会もあった。

 29日午前は天城町岡前小児童との交流会も予定している。