県議会開会

奄振延長、国に働き掛け
補正予算など30議案上程

 県議会12月定例会は28日開会した。会期は12月19日までの22日間。2023年度一般会計補正予算(41億7900万円追加、総額9038億4600万円)や条例改正など30議案、専決処分2件を一括上程した。提案理由説明の中で塩田康一知事は、来年3月末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)について法延長実現へ国への働き掛けに決意を示した。

 奄振法については国の審議会から、「来年度以降も現在の法的枠組みにより特別措置を講じる必要がある」などとする意見具申が国に対しされている。知事は「今月上旬には、法延長の実現等に向けて、私から国や関係国会議員に対し、改めて強く要望を行った」と述べ、引き続き関係国会議員や県議会、地元市町村と一体となって取り組むとした。

 九州電力川内原子力発電所の20年の運転延長については「原子力規制委員会の審査内容、県からの要請に対する原子力規制委員会及び九州電力の対応に加えて、今後の県議会での議論などを踏まえ、県としての運転期間延長に対する考え方を整理していく」との考えを改めて説明した。

 農林水産業の「稼ぐ力」の向上では、飼料価格の高止まり、国内の牛肉在庫量の増大、子牛価格の下落などにより肉用牛農家の経営が厳しい状況にあると言及。鹿児島黒牛の認知度向上や販路拡大などの取り組みを報告した上で、今後も海外食品展示会、商談会への出展支援や海外バイヤーによる産地視察など海外への輸出拡大などに努めるとした。

 観光の「稼ぐ力」向上は、▽県の観光動向調査で9月の県内宿泊客数がコロナ禍前と同程度の水準となるなど回復傾向が続く▽クルーズ船は、今年は鹿児島港で82回、県全体で合計125回の寄港が見込まれ、コロナ禍前と同程度の水準に戻りつつある▽国内の誘客は、ANAやJR西日本とタイアップし、首都圏や関西圏からの誘客を促進する観光キャンペーンを展開。今月からは、宝探しイベント「南の宝箱ハンターズ」を実施し、県民などによる県内周遊を促し、本県の魅力発見―などを挙げ、「二つの世界自然遺産をはじめとする豊かな自然や食、特色ある伝統・文化など『南の宝箱 鹿児島』の魅力を発信し、誘客の促進に取り組んでいく」と述べた。

 提案された補正予算案には、台風災害への復旧対策費や県職員の給与の引き上げにかかる経費などが盛り込まれている。

 12月1日に代表質問、5~8日には一般質問がある。