和光園80周年記念式典

奄美和光園の創立80周年記念式典

「平穏な療養生活、国の責務」
偏見、差別乗り越え思い新た 入所者11人、平均年齢87・6歳

 奄美市名瀬の国立療養所「奄美和光園」(馬場まゆみ園長)で30日、創立80周年記念式典があった。同園の職員や入所者のほか、厚生労働省、県、奄美市の関係者ら約100人が出席。1943(昭和18)年の開設から80年を迎えた同園の歴史を振り返り、ハンセン病に対する偏見や差別根絶への思いを新たにした。

 式典には同園の入所者7人と職員約60人のほか、来賓として全国ハンセン病療養所入所者協議会の屋猛司会長や安田壮平奄美市長らも出席。馬場園長が「80年の歴史を踏まえ、これからも奄美の人々の施設であると言われる存在であり続けたい。入所者が今後も安心して生活を送れること。地域の人たちとの交流が深まることを願っています」と式辞。入所者4人が「みなさん今日はありがとうございます」「80周年記念おめでとうございます」などとあいさつした。

 また、武見敬三厚労相の告辞を同省の和田昌弘医療経営支援課長が代読。「国の隔離政策がハンセン病に対する社会の厳しい差別、偏見を生み、元患者や家族に苦難と苦痛を与えたことを真摯(しんし)に反省おわびし、苦しみの中で亡くなられた方々に哀悼の意を表したい。療養所に在園を希望される入所者には、終生の在園を保証するとともに、最後まで平穏な療養生活を営むことができるよう国の責務を果たすことを約束します」などと述べた。

 このほか、塩田康一知事(新川康枝県大島支庁長代読)、安田壮平市長らが祝辞を述べた。

 式典ではこのほか、同園の元職員らがシマ唄などを披露。ワイド節に合わせて手踊りする入所者の姿もあった。

 同園は43年4月5日に開設され、翌年に19人が入所、開園式が行われた。ピーク時の58年には342人が園内で暮らしていたが、入所者の高齢化などもあり徐々に減少。現在の入所者は11人(男3人、女8人)となっている。入所者の平均在園期間は58年。高齢化も進んでおり、平均年齢は87・6歳で、最も若い入所者でも78歳。最高齢は96歳となっている。

 11月2日には、昨年11月以降に亡くなった入所者6人の合同慰霊祭も行われ、同園で亡くなった405柱の御霊(みたま)の冥福(めいふく)を祈った。