医療者立場から平和訴え

憲法九条の条文が刻まれた碑の完成を祝う関係者(1日、奄美中央病院南側入り口)

奄美中央病院「憲法九条の碑」建立

 奄美医療生活協同組合・奄美中央病院は1日、同病院に建立した「憲法九条の碑」の除幕式を行った。「戦争の放棄」を謳(うた)う日本国憲法九条の持つ役割を目に見える形にし、幅広い人に親しんでもらおうというもの。5月から寄付活動を進め、このほど完成した。約80人が参加した式典で、平元良英院長(59)は「戦後78年の平和はこの条文にある」と力強く語り掛けた。

 「憲法九条の碑は、国内には25か所以上、世界でもスペイン領カナリア諸島やトルコ、ジンバブエなどで建設されている」。2月に、奄美市で開催された平和講演会で国際ジャーナリスト・伊藤千尋さんの報告がきっかけとなり、建立の機運が高まったという。約40万円かかったという費用は全て寄付によって賄われた。

 出席した奄美市議・﨑田信正さん(73)は「本来なら20年前、30年前に作っておかなければならなかった」と悔しさをにじませながら、「できたことを歓迎する」と語った。

 全日本民医連の若手職員で組織する全国青年ジャンボリー副会長の長谷川真奈さん(25)は「核も戦争もない時代を目指したい。碑は、九条を守りたいという気持ちが込められている」と完成を喜んだ。

 平元院長は「命を守る立場の医療者が戦争反対の先頭に立つことは自然。生命の守り手として平和を訴え続ける」と語った。