「琉球弧の唄と踊り」

男女の恋を演じた琉球舞踊「加那よー天川」

 

 

(右から)仲田治巳さんが奏でる笛でシマ唄を歌う松山美枝子さん、平田まりなさん

 

 

笛とシマ唄が融合
芸能文化の違いに驚きの声

 

 奄美群島日本復帰70周年記念「琉球弧の歌と踊りin奄美~27度線を越えて~」(同実行委員会主催)が2日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。琉球王国時代から伝わる琉球舞踊が、三線(サンシン)や胡弓(こきゅう)の音に合わせ華やかに披露され、奄美のシマ唄と共演した。

 琉球舞踊は、王朝時代の「古典」、明治以降の「雑踊」、戦後に生まれた「創作舞踊」に分類される。古典は、宮廷芸能として祭祀(さいし)に踊られてきた。15世紀頃中国から伝来したサンシン、18世紀に薩摩から伝わった琴(こと)や太鼓、(六孔の)横笛、胡弓(こきゅう)などが音楽を奏でた。

 中盤には、国指定重要無形文化財保持者の仲田治巳さんの笛の調べにのせ、奄美の唄者・松山美枝子さんと平田まりなさんが「雨ぐるみ節」などを歌い、二つの文化が融合した。昨年11月にあった仲田さんの独演会に2人がゲスト出演した縁で実現に至ったという。

 ラストを飾った雑踊「加那よー天川」では、女踊りと二才(成人男子)踊りが、男女の恋の様子をユーモラスに演じ、大きな拍手を浴びた。

 奄美市の竹田良一さん(57)・ひとみさん(50)夫妻は、「十数人が登場した琉球舞踊が能舞台のようだった」と話し、機織りの糸を巻く様子を表した「かせかけ」と、松山さん、平田さんが歌った「糸くり節」の表現の違いに驚いていた。

 松山さんにシマ唄を習っていたという琉球大学1年・岩崎小桃さん(18)は「大学では、二つの島の音楽を研究する琉球芸能研究サークルに入っている。来年2月の発表に向け、とてもいい場面になった」と満足そうに帰路についた。

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 舞台袖で進行のアナウンス役を務めたのは、大島高校放送部の2年・長谷川志保さん(16)、1年・原口結乃さん(16)、同・栄真優さん(16)の3人。曲名や舞踊名の紹介で、イントネーションの違いに戸惑ったという。「放送席に座り、カーテンが上がる前から緊張した。後半は上手に出来たと思う」と笑顔を見せ、同校の卒業生でもある憧れの平田さんと写真に収まっていた。