生産・給与報告検討会

約65人が意見を交わしたハカマロール生産・給与実証調査報告検討会

ハカマロール「定着すべき」
県大島支庁で意見交換 反復調査求める声も

 サトウキビの刈り取り作業で出る残渣(ざんさ)のハカマなどを、牛の新たな飼料として活用を目指す「ハカマロール生産・給与実証調査報告検討会」が5日、奄美市名瀬の県大島支庁会議室であった。事務局からは、ハカマロールの「繁殖雌牛への給与実証」と「ほ場での生産後のサトウキビの生育」に関する新たな調査成果が報告され、現状の課題や今後の取り組みについて意見を交わした。

 県肉用牛振興協議会大島支部、奄美群島糖業振興会(事務局・県大島支庁農政普及課)が主催。群島内の行政や糖業、畜産の関係者ら約65人が参加した。

 検討会は、地元資源を活用した自給飼料の確保を目的に開催。循環型農業を構築することで、飼料の高騰など外的要因に左右されない経営体制をつくる狙いもある。

 繁殖雌牛への給与では、新たに徳之島での調査結果を追加した。徳之島では既存の飼料と比較した場合、1日1頭あたりで418円のコスト削減効果がみられたものの、降雨後に収穫したハカマの水分量の調整が新たな課題となった。高水分ロールは牛の食いが悪く、今後は乾燥のための経時的な推移などを検証していくこととした。

 生育調査では、ほ場を踏圧するロール作業機が稼働した場合と、これまでと同様の場合とで次作の株出し栽培への影響などを比較した。平均値では茎長や茎数に大きな差はなかったものの、島別では数値に大きなばらつきもみられた。事務局は品種の違いや初期の適期管理などを要因に挙げたものの、参加者からは「条件をそろえるべき」「反復調査が必要」といった声も上がった。

 事務局は会後、「(島は)牛が増えれば牧草が減り、牧草地を増やせばキビ畑が減る。(ハカマロールの)普及は定着すべきだ」「農畜が連携できれば必ずメリットは出せる。5年、10年先を見据えて協力していこう」と総括した。