「津之輝」生産技術研修会

品質面を含めて着果状態が良好な元井農園で行われた津之輝生産技術研修会

早期摘果で生産安定、大玉化 炭酸カルシウム資材散布 果面障害や裂果軽減
元井農園で

 県園芸振興協議会大島支部(事務局・大島支庁農政普及課)の果樹技術部会は5日、2023年度津之輝(つのかがやき)生産技術研修会を奄美市住用町の㈱元井農園で行った。津之輝はタンカンに近い食味の良さから、お歳暮用として人気の12月に収穫できる新かんきつ。安定生産、果面・生理障害などが課題だが、早期の粗(あら)摘果や炭酸カルシウム資材の連用散布による軽減効果が報告された。

 研修会には生産者や行政関係者など約50人が参加。元井農園では国道沿いの下場(平場)にある果樹園(植栽面積約100㌃)で栽培しており、今期は6日から収穫を開始する予定。園主の元井孝信さん(67)が管理状況を説明した。

 元井さんは「着果状態が良く、これまでで最高の仕上がりとなった。裂果もなく、2Lサイズが中心で品質調査では平均糖度11・8度、クエン酸は1・04%となり、ちょうどいい」と説明。6月下旬や8月上旬の大雨・台風により降水量が前年より多い時期があり、大雨→乾燥→大雨が繰り返され、通常は裂果が出る気象条件。炭酸カルシウム資材(ホワイトコート、クレフノン)を6~9月に連続して散布したことで、裂果のほかハダニの発生も抑制できたという。元井さんは摘果についても触れ「6月スタートと早めに取り組んだことで(消費者に好まれる)大玉につながり、Mサイズはほとんど出ていない」と述べた。

 結果樹における今期の積み残し課題及び取り組み結果の紹介・提起は、大島支庁農政普及課技術主幹兼技術普及係長の松尾至身さんが行った。この中では▽小果の除去や近接果の整理など早い段階(5月下旬、6月下旬)の粗摘果により2Lや3Lサイズの大玉に仕上がる▽果皮の保護・一層の体質強化へ炭酸カルシウム資材散布で果面障害や日焼け果、裂果の減少のほか、病害虫やヤガ被害も抑制でき、光合成アップで糖度が上昇し、着色も促進される▽母枝(成枝)確保・競合緩和・樹高抑制により迅速な減酸、着果不足樹の解消、隔年結果性の緩和等が期待できる―などの改善策を挙げた。

 元井農園の「最高の仕上がり」につながった炭酸カルシウムの連用散布は、果皮の体質強化や結露抑制といった直接的な効果に加えて、樹体内の水分変化の抑制や光合成促進に有効と推察されるという。