県議会一般質問

生血輸血、今年度は2件
離島クルーズ船回復 案内士不足など課題も

 県議会12月定例会は6日、一般質問を続開、東清剛議員=無所属、日置市区=、元山寿哉議員=自民党、日置市区=、岩重礼議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、松山さおり議員=自民党、奄美市区=が登壇した。元山議員が取り上げた奄美大島での血液備蓄所再設置に関し、院内での生血(なまけつ)輸血は今年度、9月末現在で2件あったことが報告された。

 房村正博・くらし保健福祉部長の答弁によると、県赤十字血液センターからの供給が間に合わない場合に備えて奄美大島地区では供血者をあらかじめ登録する緊急時供血者登録制度を2003年から運用。この制度による直近5年間の運用実績は18年度5件、19年度1件、20年度と21年度は各2件、22年度は5年間で最も多い6件となった。

 血液製剤の安定供給につながる出張所の設置は、同センターによると開設に約6千万円、365日24時間体制を維持するための人員確保運営経費として毎年約5千万円が必要として「人的経費的な問題がある」(同センター)との考え。房村部長は「今年10月の第4回検討会において血液センターから提示された出張所設置費用の検証を求める意見や、悪天候時のブラッドローテーションの実施にかかる費用負担について意見があった」とし、こうした意見を踏まえながら「血液製剤の安定供給に向けて各関係機関との協議を継続していく」と述べた。

 松山議員は世界自然遺産のある屋久島・奄美大島及び徳之島のクルーズ船寄港状況や誘致に向けた取り組みを質問。塩田康一知事の答弁によると、新型コロナウイルス感染症の影響で20年3月に運航停止していた国際クルーズ船は今年3月に再開。停止前の19年度の寄港回数は国内・国際合わせて屋久島17回、奄美大島22回、徳之島3回、20年は3島合計で3回まで落ち込んだが、今年は3月以降で屋久島13回、奄美大島18回、徳之島1回となる見込みで、知事は「3島へのクルーズ船寄港は回復しつつある」と述べた。誘致に向けては現在、鹿児島と屋久島、奄美群島を巡る「世界遺産クルーズ」を積極的にPRしているとした。

 一方で課題も。悦田克己観光・文化スポーツ部長は答弁で、名瀬港では▽港の観光案内所などに配置する地域通訳案内士が不足▽バス・タクシーの運転手が不足しており、先日、乗船客2千人を超える船が寄港した際には十分な台数のツアーバスやシャトルバスを手配できず、タクシー待ちの行列ができたり、本来の目的地に行けず、行き場のなくなった一定の外国人観光客らが近くの商店街に集中し、商店街の利用可能なキャパシティ(受け入れることができる数・量)を超える事態が発生―を挙げ、「今度どのような対策が必要か課題としたい」と述べた。

 松山議員が取り上げた奄美群島における台風時の生活関連物資の不足状況にかかる調査結果については西正智・地域政策総括監が答弁で報告。県による調査は8月1日~9月まで小売店舗等を対象に不足する品物の状況や今後の対策などを調査。それにより「店舗に追加のコンテナを整備」「生鮮食品の保存に役立てるため店舗に非常用発電機を導入」「島内産の野菜等を真空冷凍処理して保存するため店舗に関連設備を導入」する必要性などの回答があった。西総括監は「住民生活に密着した課題であり、市町村や島ごとに事情が異なる部分もあることから本調査結果を情報提供の上、市町村においても対策を検討していただいている」と述べ、市町村と連携して具体的な対策を検討していくとした。

 7日も一般質問がある。