「徳之島コーヒー」 ブランディング化期待

AGFや丸紅がコロンビアから招へい、「徳之島コーヒー」生産者たちを技術指導したカラハバリ氏=6日、伊仙町喜念

コロンビアの農業技師派遣 味の素AGF

 【徳之島】味の素AGF㈱(本社・東京都、竹内秀樹代表取締役社長)は「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」の一環で、世界的なコーヒー生産国コロンビア共和国から専門の農業技師を5日から同島に派遣している。徳之島コーヒー生産者会(会員約30人)を対象に座学や農園視察などを通じ、栽培の知識技術を情熱的に指導。希少性を生かしたブランド化も期待した。7日まで。

 味の素AGFをはじめ総合商社・丸紅、伊仙町、徳之島コーヒー生産者会の官民4者の連携で進めている「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト事業」(2017年夏に調印)。生産者会とともに、台風災害や土壌の改善、収穫後に使用する豆の精選機や焙煎(ばいせん)機不足、後継者問題など課題解決へ「徳之島コーヒー」生産を支援。島の次世代に引き継ぐプロジェクト(AGF)にも位置付けているもの。

 技術指導で招へいされたコロンビアの農業技師は、コーヒー栄養学や土壌肥沃度管理の専門家で、同国FNC傘下のコーヒー研究所研究員を務めるシアボシュ・サデジアン・カラハバリ氏(60)。

 生産者会会員や町当局など関係者約30人が参加し、初日はコーヒーノキの育成に適した土壌や環境など知識を座学で吸収した。6日は伊仙町喜念と面縄にある会員及びAGF実証農場など3か所で現地指導した。

 同氏は、同島産地の印象として「すでに定着していると思う。強い日射と風からコーヒーノキを守るため(センネンボクなどで)を植栽したり、愛情と学習意欲をすごく感じる」。徳之島コーヒーの味には「日本人はコーヒーの味へのこだわりが強い。すごくおいしい」ときっぱり。

 世界のコーヒーベルト(適地)から離れたエリアでの産業化など課題には、「生産量は少ないと思うが、歴史を語れるブランディングも必要。ハワイ産も量は少ないが特別感がある」とブランド化の必要性を重ねて強調した。

 コーヒー園の巡回指導に協力した生産会員の1人・元田和良さん(72)=同町喜念=は「1か月で枝節が一つ成長して樹齢も分かると初めて知った。化学肥料は使わずに微量成分を工夫しながら現在は4年木が約250本(約15㌃)。目標は計1000本への拡大です」と目を輝かせていた。