生徒から生徒へ復帰伝える

朝日中学校であった、生徒主体の「日本復帰における道徳の授業」

「25日は奄美のことを考えて」
名瀬朝日中 生徒会役員が先生役

 奄美市名瀬の朝日中学校(山宗功校長、生徒294人)で8日、1年生105人を対象に「日本復帰における道徳の授業」があった。2年生の生徒会役員6人が2人ずつ3クラスの先生役を務め、奄美群島の日本復帰について学ぶとともに「今、私たちができること」を考えた。最後に先生役の生徒会役員は「復帰記念日の25日は楽しいクリスマスだが、今日の授業を思い出し奄美のことも考えて」と呼び掛けた。

 同授業は、奄美群島日本復帰月間の取り組みとして、米軍の統治下にあった当時の生活や復帰に向けた先人たちの思いなどを知ることで、自分たちにできることや伝えていく大切さを考えることを目的に、3年前から行っている。生徒主体で授業を行うことで、自ら考えるとともに活発な意見が出され、授業は活気にあふれた。

 1年生にとって初めて耳にする「日本復帰の歌」の視聴で開始。歌詞から感じる気持ちから歌のタイトルを考えた。生徒からは「言葉や将来の不安が大きかったと思う」や「戦争に負けたくらいで、なぜアメリカにならなければいけないのか」などの意見が出た。

 また、米軍の統治下にあった時代の生活風景や復帰運動、復帰当日の動画や写真を視聴し、自分たちが当時の奄美に住んでいたならどうするかを考えるとともに、今の自分たちができることを考え、「戦争してはいけないことを伝えていく」や「食べ物を残さず、物を大切にする」「先人と当たり前にある日常に感謝する」などの発言があった。

 1年生の美里結太(ゆいた)さんは「奄美の日本復帰について学び、深く考えることができた。次の1年生にしっかりと伝えていきたい」と話した。

 先生役を務めた生徒会役員の森音緒(ねお)会長、釘﨑奏介副会長、大吉心羽(しんば)副会長、柳田虹來(にこ)さん、新地由佳(ゆうか)さん、黒瀬景史(けいし)さんは「教えることの難しさと楽しさを知った」と話し、「戦争の悲惨さと復帰運動に奮闘した先人の思いを、絶やすことなく伝えていきたい」と語った。