「津之輝」発送開始、贈答用で注文

順調に収穫、島外からの注文に応じて「津之輝」の発送も始まった元井農園

 

 

プリプリ感好評、リピーターに
住用・元井農園

 

 12月から収穫が始まった新かんきつ「津之輝(つのかがやき)」は島外への出荷も行われている。島内での栽培を技術面でリードする奄美市住用町の元井農園では11日から発送を開始、果肉のプリプリ感とタンカンに近い食味が好評で、年末の贈答用として繰り返し注文があるリピーターにつながっている。

 津之輝の果樹園は国道沿いの下場(平場)にあるが、園主の元井孝信さん(67)によると、早期の粗(あら)摘果や炭酸カルシウム資材の連用散布により果面・生理障害が軽減され、着果状態や色付きも良く「最高の仕上がり」となった。今期は10㌧の収量を見込んでいる。

 収穫は6日から開始したが、天候に恵まれ順調で1回目が終了。果皮を乾燥させるため風通しの良い場所で4、5日貯蔵する予措(よそ)を経て、園オリジナルの化粧箱に入れて注文に応じている。好まれている2L、3Lサイズの大玉がメインで、3㌔3千円で販売。秀・優・良の規格では最上位の秀品が一番売れるという。「関東を中心に注文があるが、タンカンの購入者がそのままスライドしている」と元井さん。

 元井農園では「適度な酸味が強い甘みを際立たせてくれます」「ナイフで皮に切り込みを入れると、むきやすくなります」「果汁たっぷりなので冷やすと、まるでジュースのよう」をPR、おいしさを分かりやすく伝えている。

 20日頃まで収穫予定。今期は量が多いことから年明け以降も注文に応じることができそう。元井さんは「贈答用に適した素晴らしい品種。奄美での導入を図った関係機関に感謝したい」と語る一方、収穫適期の12月より早く11月で地元市場に出回ったことに苦言を呈する。「11月収穫では酸切れしておらず、酸っぱい。糖度も不十分。こうした品物を外から訪れる入込客が味わってしまうと、おいしくないミカンというイメージを持ってしまう。島外出荷に影響する。品質を確認せず庭先などで栽培したものを地元市場に持ち込んでしまうことで、きちんと作っている農家の足を引っ張る結果になる。受け入れる地元市場も何でも入荷させるのではなく品質面を重視し対応すべきではないか」と指摘する。

 以前、タンカンでは「青取り」(未熟果)が市場に出回り問題化、現在は2月以降の適期収穫・出荷が浸透しているが、津之輝の産地づくりを進める上でも「本来のおいしさを引き出す」時期の収穫・出荷に向けた取り組みが求められそう。