宇検村・トークイベント

宇検村の歴史を振り返りシマの魅力を伝えたトークショー(24日、宇検村湯湾)

「歴史はつくらず残すもの」
30年前の書籍から未来描く

 宇検村湯湾の生涯学習センター「元気の出る館」で24日、村主催のイベント「湯湾岳と焼内湾が育む私たちの暮らしよ 永遠に!」があった。村振興育英財団が発行した『なぎ物語』(1994年)など書籍を基にトークショーがあり、編集に携わった関係者ら8人がオンラインを含め登壇。書籍に込められた思いや発行の経緯が語られるとともに、シマの未来を描いた。

 イベントは今年3月、村で初策定された観光基本計画の強化が目的。トークショーは村観光コンセプトの基となる『なぎ物語』や『北緯28度の森』(92年)、『ウムイ』(93年)のほか、同財団初刊行の『與湾大親』(92年)をテーマに開催。元村長の元山三郎氏、元田信有氏、写真家の浜田康作氏、南海日日新聞社の松井輝美氏、音楽家の村松健氏、村文化財保護審議委員会会長の川渕哲二氏、元山公知村長が登壇。オンラインで元田検小学校教頭の先田光演氏が参加した。

 三郎氏は1973年から10年超に及んだ、枝手久島を巡る石油精製工場建設計画表明と中止への経緯を説明。村を二分した当時、賛成に回り、村長時代に財団理事長として村の豊かな自然を書籍として残そうと決意したことを振り返り、「歴史とはつくるものではなく悪い記憶も良い記憶も残すこと」と述懐した。

 ほかにもイベントでは、環境省釧路自然環境事務所・岡野隆宏所長の『ケンムンが教えてくれたこと』と題する講話や地元小学生らによる音楽ライブ、村コンセプト絵本『やけうちの神々』の動画・イメージソングが公開された。