おがみ山で市民のつどい

日本復帰時に泉芳朗氏が残したあいさつ文の朗読とともに万歳三唱が行われた(25日、奄美市名瀬のおがみ山公園)

集会では泉宏比古氏も参加した奄美群島日本復帰70周年記念たすきリレーの選手たちがゴールした

平和を祈り、復帰を継承
「本土との格差がない社会を」

 奄美群島の日本復帰70周年を迎えた25日、復帰伝承6団体が主催する「市民のつどい」が奄美市名瀬のおがみ山公園であった。日本復帰記念碑前の広場に市民ら約80人が参加。日本復帰祈願の歌を斉唱し、復帰運動をけん引した泉芳朗氏の胸像に献花。無血の復帰を成し遂げた先人たちの偉業をしのび、平和への祈りをささげるとともに、経済格差を抱える奄美の実情を問い直した。

 「市民のつどい」は、2016年から「奄美群島の日本復帰を伝承する会」など市民団体が開催。主催者を代表し、同会の安原てつ子副会長(70)は「戦争が終わった後、無の状態から日本全国、世界は立ち上がった。しかし、本土(との経済)格差は縮まっておらず、どこかで私たちは間違った選択をしていないか」と復帰後を振り返るとともに、「平和的な社会を目指したい」とあいさつした。

 集会では献花のほか、詩人でもあった泉氏による「断食悲願」の詩の朗読、日本復帰祝賀の歌「朝はあけたり」の斉唱があり、万歳三唱とともに節目の集いを締めた。

 中学3年の時に復帰を経験した才田一男さん(85)=名瀬矢之脇町=は「日本復帰は人生でも強烈な出来事だった。若い人たちが島の歴史をしっかり認識し、奄美をさらに良くしようという信念を持ってもらえれば」と話した。

 この日は、集会に合わせて23日に同公園をスタートした「ぐるっと奄美大島一周300キロたすきリレー」(名瀬チャレンジクラブ主催)の選手たちがゴール。泉芳朗氏のおいの泉宏比古氏(65)、名瀬小4年の米田花さん(9)がテープを切った。