奄美医療圏会議

病床数の調整など協議した奄美保健医療圏地域医療構想調整会議(27日、奄美市名瀬)

名瀬徳洲会病院38床増床を計画
県立大島病院の回復期病床協議継続
「開業医減り住民が不安」

第13回奄美保健医療圏地域医療構想調整会議(議長・稲源一郎大島郡医師会会長)が27日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。名瀬徳洲会病院は2025年度までに事業譲渡を追加した38床増床(計308床)を計画。徳之島徳洲会病院は38床(計237床)の増床は合意したものの、その病床機能の調整と、県立大島病院の全270病床のうち37病床の回復期病床への転換に関する協議を継続することにした。

会議は、国がコロナ禍前から進める医療提供体制改革、「地域医療構想」に基づき開催され、団塊世代が75歳以上になる2025年に向け地域の実情に合わせて病床数を機能別に調整する。委員は圏域内の病院関係者、12市町村長、県大島支庁で構成する。

委員らは医療ニーズの推計から、慢性期病床の患者を在宅や介護施設に転換を図り、病床数の削減を推進。地域医療構想で掲げる奄美医療圏の25年度必要病床数1265床に対し、23年11月時点で1688床となっている。

安田壮平奄美市長は「市では耳鼻科、小児科など開業医が減り、住民が不安を感じている」「移住先の判断基準は教育、医療にあり、自治体として何ができるか」と提起。奄美中央病院院長の平元良英院長は「全国的な問題であり、医師全般の労働力の確保が課題」とし「奄美での勤務を希望する医師は多い。奨学金を推奨し、住居問題の解決が必要」と意見した。

名瀬徳洲会病院の満元洋二郎院長は「奄美は若い医者にとって魅力はあるが、遠隔手術で必要となるネットワーク通信が遅く、移動費のコスト、宿泊先不足が問題」と指摘。県看護協会大島地区の森田英樹地区長は「病院の施設基準にある看護師の人数の確保が病床数につながる。医療の魅力を広く伝えることが必要」とし、ともに自治体への改善、協力を要望した。

なお、国保宇検診療所は建て替えに伴い、いづはら医院(瀬戸内町)は名瀬徳洲会病院への事業譲渡を理由に、それぞれ無床となる。