23年大島紬生産反数

 
 
減産止まらず2710反
前年比250反減
後継者不足、工賃向上急務

 

 

 本場奄美大島紬協同組合(黒田康則理事長)は28日、2023年製品検査業務を終了し、生産実績をまとめた。今年の生産反数は、前年比250反(約8・4%)減の2710反だった。1972年をピークに減産は止まらず、前年に続き2千反台にとどまった。深刻な後継者不足が一因とみられる。

 23年の生産反数を検査別にみると、経(たて)糸の密度で表す算(よみ)別では、15・5算が1818反、13算が892反。染色別は、泥1287反、化染1043反、草木泥278反と続き、単色別では、単色1931反、色入り779反となった。

 経緯(たてよこ)別では、経緯絣(かすり)2413反、緯絣297反。製品の男女別では、男物が294反、女物が2416反。大島紬を除く産地証明は前年比28・9%減の140反だった。

 月別の生産反数は、11月が131反と最多で、次いで3月129反、12月125反。4月が90反と最も少なく、1月が95反と続いた。

 生産反数は、72年をピークに減少傾向が続き、87年に20万反、92年に10万反、2010年には1万反を切った。過去10年をみても14年の5340反から半減した。

 減産が続く背景には、業界の担い手不足が挙げられる。職人の高齢化は進み、作りたくても作り手がいない。今年は前半にコロナ禍によるイベント中止や資材高騰に伴う価格転嫁などの影響もあったが、黒田理事長は「職人が育っていない。(人材確保や若手育成に向け)まずは工賃アップが急務だ」と取り組む。

 ただコロナ禍では、模索を続けてきた成果もあってか、受注生産が増えるなどビジネススタイルも変わりつつあるという。「減産続きで暗い雰囲気もあるが、(変化を)産地では明るい話題と捉えている。前を見て、新しい芽を広げていきたい」と期待を込めた。