日本復帰70周年を迎えた奄美群島の郡都として発展してきた奄美市名瀬市街地の夜景(西康範さん撮影)
奄美群島日本復帰70周年の節目の年となった1年。新型コロナウイルスの感染拡大も収束し、群島内では70周年を冠したさまざまなイベントなども行われ、盛り上がりを見せた年となった。
5月8日に新型コロナが5類に移行。観光客も増加し、外国籍の大型クルーズ船も多く寄港するなど、コロナ禍以前のようなにぎわいも戻ってきた。そんな中、全国高等学校総合文化祭(2023かごしま総文)や全国離島交流中学生野球大会(離島甲子園)、鹿児島国体相撲競技など70周年を記念したイベントでは、島外から多くの来島者もあった。
総文祭では、台風の影響で参加した高校生らが長期間にわたり島内に足止めされることになったが、官民一体となったおもてなしで奄美の魅力を伝えた。参加した生徒たちも奄美の自然や文化を楽しんでいた。
11月の日本復帰記念式典では、各島で戦争や復帰運動を体験した高齢者らにインタビューした奄美群島の中学生や高校生らが「未来へのメッセージ」としてそれぞれの思いを語り、ふるさとを守り、次世代へつなぐ決意を新たにした。さまざまな場面で若い世代の活躍を感じさせる1年だった。
奄美群島にとって記念すべき1年となった一方、国内では円安や物価高騰
などの影響で国民生活は厳しさを増した。自民党の政治資金パーティーを巡る問題など政治不信がさらに深まった印象もある。来年はどのような年になるのか、少しでも明るい年になることを期待したい。
来年の干支(えと)は、「辰(たつ)年」。日本復帰70周年を節目に、さらなる高みを目指し、群島が一体となって上昇気流に乗り、奄美の新たな歴史を紡ぐ始まりの年となることを願いながら新年を迎えたい。