奄美民謡武下流

二代目を前に、会員らによる久しぶりの発表会


二代目を襲名した、武下かおりさん(前列左から2人目)を囲んで記念写真に納まる会員ら

二代目を襲名披露
発表会・忘年会開催

 【東京】奄美民謡武下流東京同好会(露崎博子会長)が昨年末、品川区の中小企業センターで発表会・忘年会を開催、二代目の襲名披露もした。会場には会員、関係者ら約60人が集い、シマ唄を熱唱、新たな継承者の襲名を祝っていた。

 「奄美民謡を芸術に高めた」と称される、奄美大島南部で歌われる、ひぎゃ節の武下和平さん。百年に一人の唄者が、2021年1月、87歳でこの世を去った。「奄美民謡武下流」を創設した、師匠の偉業を引き継ごうと、関西や関東で活動している人たちがいる中で、東京同好会が行ったもの。

 忘年会、二代目襲名披露に先立ち、会員らによる発表会があった。下田洋子さん(60)が「俊良主節」を。上野大一さん(42)が「嘉徳なぶぃ加那」を緊張の面持ちで熱唱。ほか多くの会員たちが、師匠をしのぶようシマ唄に思いを込めた。

 その後、忘年会に。露崎会長は「人の交流を阻害されている時に、神様と尊敬しておりました師匠が、あちらの島へいらしてとても残念でショックだった」とコロナ禍を振り返った。加えて「(昨年)3月から4年ぶりの対面での稽古が再開され、ようやく二代目襲名披露できるようになった」と報告した。

 師匠の長女として誕生したこと、関西でエレクトーンを学び講師の資格を得たことなどのプロフィール紹介に続いて、武下かおりさんが登場。「父の残した、ひぎゃ節を引き継いでいきます」と力強く語り、祝福の拍手が送られていた。藤井壮望・埼玉奄美会会長が来賓代表であいさつ。演芸の部では、会員全員での「朝花節」などが会場に響き渡った。

 かおりさんも「二代目の唄」として「長朝花節(お囃子=畑みづほさん)」「黒だんど節」を基にした「師匠のうかげ(おかげ)」を歌い上げ、喝采を浴びていた。その後、歓談は笑顔で六調に。東京瀬戸内会・山田幸一郎会長の万歳三唱でお開きとなった。