屋田さん(龍郷町出身)武道功労章

武道功労章授与に感激の屋田さん。名前が刻まれたプレートが後ろに見える


来賓や表彰者を前に「鎧(よろい)着初め・三献の儀」が行われる

奄美出身者で初 国内外に相撲の魅力伝える

 【東京】龍郷町出身で町田市在住の屋田(おくだ)敏弘さん(67)が8日、千代田区の日本武道館で開催された「2024年度鏡開き式・武道始め」(主催・公益財団法人日本武道館=高村正彦会長、協賛・日本武道協議会)で武道功労章に輝いた。関係者によると、奄美出身者としては初めての快挙となった。

 武道功労章は、全国的または地域・職域において武道の振興に寄与し、特に顕著な成果を上げた個人の功績を永久に顕彰するもの。表彰式は毎年成人の日に日本武道館で開催される「鏡開き式・武道始め」の席上で行われる。晴天にも恵まれ、式に臨む関係者たちが晴れやかな表情で駆け付けた。

 日本武道協議会に加盟する日本武道館、全日本柔道連盟、全日本剣道連盟、日本相撲連盟などの10団体の中から、発展に貢献した人が毎年各1人選ばれる武道界では最も栄誉ある表彰で、賞状と記章(武道功労章)が1981年度から授与されている。屋田さんは日本相撲連盟常務理事として国際相撲連盟、女子相撲連盟確立のため、国内外に相撲の魅力を伝えたなどが表彰の理由に挙げられた。

 「身に余る光栄で、身の引き締まる思いでいっぱい」と記章を下げた感想を語った屋田さんは、龍郷町屋入の出身。「貧しい農家の5人きょうだいの次男として生まれた」という。身体が大きかった小学時代は、休み時間になると上級生と校庭に円を描いては、相撲を取って遊んでいた。その後、国士舘大学で寮生活と相撲に明け暮れ、苦難を乗り切る勇気と気力を養う。卒業後には同大学の監督などに就任し、青少年、海外、女性へと相撲の可能性を広げていった。

 55年にも及ぶ相撲道への功績は、憲章プレートに名前が刻まれ、日本武道館1階北口玄関に永久に掲げられる。奄美の子どもたちへのメッセージとして、屋田さんは「何事にも継続は力なりの精神で、頑張ってほしい。私も奄美という狭い所から鹿児島、東京、そして世界を知っていきましたから」と語った。