「第48回秋耕展」で文科大臣賞を受賞

文部科学大臣賞に輝いた「宇宙基地」と誇らしげな山田淳子さん


第48回秋耕展の会場での山田淳子さん

瀬戸内町出身の山田淳子さん
「練り上げ」製法で作品生み出す

 【東京】瀬戸内町(加計呂麻島)出身で千葉・浦安市在住の山田淳子さん(76)がこのほど、「第48回秋耕展(主催・一般社団法人秋耕会、後援・文化庁、東京都)」で、文部科学大臣賞に輝いた。展覧会には夫で東京瀬戸内会会長の山田幸一郎さんほか、出身者らが駆け付けて作品に見入っていた。

 港区六本木の国立新美術館で開催された同展で、3階展示室3Aのメーンとなるスペースに堂々とあったのが、山田さんの作品。「文部科学大臣賞」を示す短冊が添えられた。

 同賞は絵画、写真、工芸に出展された3部門、計171点の中から優秀な作品に授与されたもの。これまで2度候補に挙がったものの、逃していただけに「三度目の正直でしょうか」と笑顔で振り返り、「いつも写真部門が受賞していたようでしたので、地味な印象の工芸が評価されたのはうれしい」と自身初の快挙を語った。

 受賞作「宇宙基地」は「練り上げ」という製法。2種類以上の土を重ね合わせ、土台となる島土にする。その後、3か月~半年間寝かせ収縮度を調節した島土をミリ単位でスライスしたもので成形、焼き上げるもの。緻密(ちみつ)で根気のいる工程で「昔は3割の成功率だったが、最近は6割になった」(淳子さん)そうだ。完成した作品は、壮大な宇宙をイメージしたもの。創作の根底にあるのは奄美の大自然。過去には、奄美のケンムンを形にしたこともある。

 淳子さんは、東京瀬戸内会会長の妻として自らも郷友会に積極的に参加する、夫の活動の良き理解者。子育てをしながら、地元の公民館で東京芸大卒の2人の先生から日本画と陶芸を35年ほど前に習った。現在は、秋耕会の会員として、春秋の展覧会に出展。自宅で陶芸教室(JUN工房)を開いて20年目を迎える。「もっと完成度を上げていきたいですね」と淳子さんは、受賞を機にさらに陶芸と向き合う意欲を高めている。