思い出の「大島紬展」始まる

それぞれの人生を映した着物34点が並ぶ「おもひでの大島紬展」

人生映す着物34点
一村美術館

 家族との思い出などが詰まった大島紬を展示する「おもひでの大島紬展~まとう喜び、めでる楽しみ、つむぐ縁」が12日、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館企画展示室で始まった。泥や白、色大島など個人らが所有する着物34点が展示。大島紬を通して歩んだ家族の歴史や人生を映す思い出と共に並んでいる。23日まで。

 県大島支庁が主催。島の伝統工芸品である大島紬の魅力や技術力を着物のストーリーと共に伝え、身近な存在として再認識を図ろうと企画した。

 着物は、本場奄美大島紬協同組合や島内外の個人らが自宅で所有するものなどを借り受けた。展示では、所有者らが紡いできた物語を伝える解説パネルも着物ごとに設置。一部は、帯などで着飾りコーディネートした。

 会場には、明治初期の品や内閣総理大臣賞に輝いた品の他、家族ゆかりの品や職人が思いを込めた品など、貴重な品がずらりと並んだ。来場者らは紬が織りなす物語を次々と堪能。あでやかな様子も楽しんでいた。

 奄美市名瀬の有村和美さん(67)は、父が気に入っていた泥染めの大島紬を、同じ生地・柄で仕立て直したという思い入れ深い品を出展。「女物の生地を男物として仕立てたもので、おしゃれな父だった。間近に着物があるだけで父に見守られていると感じられる」と思い出に浸っていた。

 同庁担当者は「古い紬も多くそれぞれに思い出や職人の思いもこもっている。(これを機に)袖を通す機会になれば」と期待を込めた。