市内の中原商店では次々とナリムチを求める買い物客が訪れた
色鮮やか、餅の木に願い
1年の健康や繁栄祈る
小正月(1月15日)前日の14日は、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を祈る「ナリムチ(餅花)」――。奄美市内の商店には、新春の縁起物に幸をあやかろうと買い物客らが次々と来店。色鮮やに花咲く餅の木に、無病息災や商売繁盛への願いを込めていた。
ナリムチは、北大島や徳之島で受け継がれる伝統行事の一つ。薩摩藩から伝わったとされ、花に見立てた4色(白、赤、黄、緑)のカラフルな餅をブブ木(リュウキュウエノキ)の枝に飾り、神棚や仏壇、墓前に供えて1年の健康や盛運を祈る。
ブブ木は切れば切れるほど枝を伸ばすことから「繁栄」の象徴とされている。鈴なりの餅には「お金がたくさん成る」などの願いが込められている。
同市名瀬井根町の中原商店(中原一成代表)では、台座付きや飾り木といった完成品のほか、ナリムチ手作りのためにカットされた枝や色餅などが所狭しと店頭を彩っていた。13日は、店舗を訪れる市民や事業者らでにぎわい、用途に合ったナリムチを購入していた。店舗奥では製造もピークを迎え、家族やパート従業員らが額に汗して作業にいそしんでいた。
龍郷町から来た建設業の碇山正三郎さん(73)は家で作るための枝と餅を購入。「思い思いに作るのも楽しみの一つ。(コロナ禍が落ち着き)仕事も良くなったという実感もある。今年は家内安全、商売繁盛でいきたい」と笑顔だった。
中原代表によると、今年は完成品だけでなく材料を購入する客も増えているという。「子ども連れなど若い購入者も多い。一人でも多くの人が幸せな年になれば」と話した。