徳之島町生涯学習推進大会・フェア

社会教育功労者表彰もあった徳之島町生涯学習推進大会(円内は特別講演の里達雄氏)=14日、徳之島町生涯学習センター

「生きた証し」のバトン後世に
里氏(東工大名誉教授)の特別講演も

 【徳之島】2023年度徳之島町生涯学習推進大会・生涯学習フェア(町及び町教育委員会主催)が14日、同町生涯学習センターであった。町社会教育功労者や絵画コンクール入賞者らの表彰に続き、東京工業大名誉教授の里達雄氏(74)=同町亀徳出身=が「生きる、学ぶ、そして知る」と題して特別講演。公民館講座受講生の成果発表でにぎわった。

 本来は隔年開催だがコロナ禍で4年ぶり。約250人が来場した。福宏人教育長と高岡秀規町長のあいさつに続き社会教育功労者と、計338点の応募があった町青少年育成会議絵画コンクールの入賞児童生徒らの代表を表彰。公民館講座修了者(計23講座・182人)代表には修了証書を授与してたたえた。

 特別講演講師に招へいした里氏は、亀徳小、亀津中、徳之島高を経て東工大博士課程修了(工学博士)。英国マンチェスター大客員研究員、東京工大の教授及び副学長特別補佐も歴任。航空・宇宙を含む全ての材料科学・金属科学・軽金属学が専門。現在神戸製鋼所顧問。昨年は東京都功労者表彰も受けた。

 講演で「学びの原点」について、①日常の不思議を見つけ、疑問に思うこと②自分はいったい何者であるかを知りたい欲求③自分がこの世に生を受け、受け取ったバトンを何色にどう染めるか―にあると前置き。

 奄美の神髄を探り続けた孤高の田中一村画伯や、日本の宗教哲学の創成期をなした詩人哲学者らにも大きな影響を与えた吉満義彦氏(徳之島町亀津出身)、奄美群島日本復帰を率いた泉芳朗氏(伊仙町面縄出身)、日本戦後の奄美教育に大きく貢献した群島連合教職員組合長の三原明大氏(天城町西阿木名出身)などの生き様にも関連付けて紹介した。

 田中画伯と吉満氏については、それぞれを献身的に支えて先立った姉妹の存在を想起させる「ウナリ神信仰」にも結び付けた。

 自らの体験では、親の背中を見て育ちサトウキビ農業の手伝いをしながら育まれた「我慢する力」、幼少期から海・山・川・田んぼで遊んだことで育まれた「強い好奇心」も紹介。生涯学び続けることによる「〝生きた証し〟はその人そのもの。家族にはもちろんのこと人々の心の中にも生き続ける。生きた証しはその人自身だけが作り上げる後世へのバトン」と強調した。

 引き続き舞台発表や作品展示で成果が披露された。