奄美市で「地域づくり組合」シンポ

パネル討論を行う組合代表者や総務省の登壇者たち

働き手確保、事例に学ぶ
組合代表者らが事例発表

 移住者を雇用し、サービス業や農家などさまざまな職場に派遣する制度「特定地域づくり事業協同組合」をテーマにしたシンポジウムが18日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。行政や商工関係者ら約100人が参加。繁忙期の働き手の確保や通年雇用による移住者定住につなげようと、設立事例の発表や組合代表者の生の声に耳を傾けた。

 制度は、人口減少に悩む地域の事業者が組合をつくり、マルチワーカー(複業)として雇用した働き手を需要に応じて各職場に派遣する仕組み。組合は、複数の仕事を組み合わせて通年の仕事をつくる。地域にとっては人口増、移住者には安定雇用のメリットがありる。県内では、奄美市、伊仙町、和泊町・知名町、与論町の4組合を含め7組合がすでに発足。他の市町村でも機運は高く、設立の準備・検討が各地で進んでいるという。

 シンポジウムは、組合の運営や連携を支援する「県中小企業団体中央会」が主催。事例紹介やパネル討論を通して、制度の現状や課題を確認した。

 事例発表では各地の組合代表者が、地域ごとに異なった設立概況などを報告した。ヨロンまちづくり協同組合の川畑力理事長は事業者主体で発足、奄美市しまワーク協同組合の長瀬悠事務局長は地域おこし協力隊として官民に橋渡し、その経緯を説明した。みなみたね地域創生協同組合(南種子町)の日髙孝之事務局長は、行政主体で共に歩んだ協力体制なども振り返った。

 パネル討論では、働き手を呼び込むための移住者採用や住宅確保などに解決策を求める声が上がった。総務省地域自立応援課の熊坂仁志課長補佐は「地域の市町村が協力し体制を整えることが必要。地域が組合の取り組みに理解を広めることも大事だ」などとアドバイスを送った。

 19日は、奄美大島の農園とホテルで現場視察を行う。