銀座アートホールで「第3回ひぐらし展」

銀座アートホールでメンバー。左から有馬久二さん、小野寺純子さん、﨤町勝治さん、野口義博さん、水村喜一郎さん、緑川敏夫さん(水村さん、緑川さんの間からは畠さんの作品も見える)
2022年に奄美市笠利町の田中一村記念美術館であった「第2回ひぐらし展」から(畠さんは左から2人目)

奄美市在住・畠さん作品も
来場者でにぎわう

【東京】奄美市在住の画家・畠理弘さん(75)が参加する主体美術協会の作家有志によるグループ展「第3回ひぐらし展」が、銀座アートホール(中央区銀座8丁目110番地、高速道路ビル)で9日から14日まで開催された。大小約50作品が展示されたホールには多くの鑑賞者が訪れ、興味深く足を止めていた。

「ひぐらし展」とは、洋画家の故・寺田政明氏(俳優・寺田農さんの父)に師事する作家らによるもの。寺田氏が戦後にアトリエを構えた板橋区の通称「ひぐらし谷」に由来する。70代を迎えた作家たちが、2019年に没後30年と先輩画家・久保田孝司氏没後40年が重なったことを機に北区・十条の画廊で記念展を開催し、第2回は22年に奄美市笠利町の田中一村記念美術館企画展示室で開いた。第3回は東京近郊から有馬久二さん、小野寺純子さん、﨤町(そりまち)勝治さん、野口義博さん、水村喜一郎さん、緑川敏夫さんが参加した。 

奄美市在住の畠さんは、都合がつかず上京はかなわなかったが、繊細で力強い作品が送り込まれた。はがき2枚サイズの0号から150号の大作まで、具象から抽象画の油絵約50作品が、ショーウィンドーからの外光が差し込むコリドー街の銀座アートホールに展示された。「有名な画廊で開催できて何より」。世話人で長野県出身の﨤町さんは来場者に対応しながら手応えを感じていた。

奄美では、用の浜の風景やガジュマルの下絵を描いたという﨤町さんは大木画を出品。「大木は南のイメージがあり、奄美の影響を受けているかも」と畠さんとの縁を振り返っていた。    

9歳の時に事故で両腕を失ったものの、足と口で絵筆を取り「描く詩人」と呼ばれる水村さんは「次回は、奄美をテーマにまた奄美で、ひぐらし展をしたい。畠君頼むよ」と話し、みな笑顔で賛同していた。そんなエールについて「ぜひ企画したい」と畠さんは言葉を弾ませていた。喜寿を迎えても創作意欲の衰えない作家たちによる、奄美でのグループ展が期待されている。