笠利町でスポーツ防災フェスタ

AEDを使った救命法をのぞき込むように見つめる子どもたち

 

 

子どもたちを前にスピード感のある巧みなドリブルを披露した大久保嘉人さん

 

 

サッカー少年・少女150人が防災学ぶ
大久保嘉人さんも参加

 

 龍郷町消防団員で、心肺停止傷病者などの応急手当てにあたるファーストレスポンダ―(FR)隊に所属する防災アナウンサー・轟木美来(みく)さん(26)と、サッカーのイベント企画などを行っている一般社団法人ネルケゼーレ愛知共催の「スポーツ防災フェスタ」が21日、奄美市笠利町の太陽が丘運動公園であった。喜界町や奄美大島島内で、少年サッカークラブに所属する子ども150人が参加、保護者を含む約250人が防災知識を楽しく学んだ。Jリーグ3年連続得点王の大久保嘉人さんもゲストとして参加、サッカー教室を開くなど、防災とサッカーのコラボ企画はにぎわった。

 鹿児島市出身の轟木さんは、2019年6~7月の豪雨災害で一時避難生活をしたことをきっかけに「防災に興味を持った」という。20年、愛知のケーブルテレビに入局、消防・防災分野の取り組みを取材し、21年には防災士の資格を取った。 22年、同消防団にFR隊があることを知り移住したという。

 「FR隊がある消防団は全国的にも珍しい。医療格差のある離島で、一時救命の仕事がしたかった」と轟木さん。 イベントでは、自身が監修し、非常食販売、備蓄水の試飲、防災テントの展示なども行った。

 轟木さんは、子どもたちに楽しく分かりやすく防災意識を教えようと、ぬいぐるみの帽子をかぶり「うんこ先生」に変身。体育館が災害時には避難所となることなどを教えた。

 大久保さんも加わり、防災ビンゴ大会、災害時の対応を学ぶ防災ダンスも行われ、子どもたちはステージに上がって交流を楽しんでいた。

 笠利消防分署の救命救急士・西栄一郎さん(52)ら6人は、心肺停止患者への対応を、救急通報、胸骨圧迫からAED(自動体外式除細動器)を使った救命措置に至るまでの流れを教えていた。

 朝日小3年・且こはなさん(9)は、「日本代表に会えてうれしかった。リフティングを教わりたい」と大久保さんとの出会いに感激した様子、「AEDもやってみたい」と話した。

 轟さんは、「個別避難用のテントなどにも目を向け、避難生活を想像して、日頃の準備をしてほしい」と話した。

 大久保さんは、「以前所属したチームメイトが石川で被災した。試合でAEDを使う場面に遭遇したこともある。何が起こるか分からない。普段から意識して準備し、冷静に対応してほしい」と心遣いを見せた。グラウンドで行われたサッカー教室では、子どもたちと一緒になってドリブル競争などに汗を流していた。