クロウサギ死亡個体 伊仙町で初確認

国指定特別天然記念物のアマミノクロウサギ(資料写真)

生息数増を反映?イヌ・ネコ適正飼養を 環境省

 【徳之島】環境省奄美群島国立公園管理事務所・徳之島管理官事務所は23日、伊仙町八重竿(やえぞう)集落で今月17日にアマミノクロウサギ(国内希少野生動植物種・国指定特別天然記念物)の死亡個体を確認したと発表した。同町内では犬田布岳(標高417・4㍍)エリアでも生息確認されているが、死亡個体の確認は初めて。イヌ・ネコの適正飼養とロードキル(交通死)対策を呼び掛けている。

 同徳之島管理官事務所(田口知宏国立公園管理官)によると、同町の犬田布岳に近い八重竿集落で発見されたのはクロウサギの毛皮と内臓の一部。死因は不明。生息域(奄美大島・徳之島)における「最南部」での確認となった。

 徳之島におけるクロウサギの生息個体数は2021年度推定で1525~4735匹(中央値2824匹)。03年度推定のわずか84匹~1054匹(中央値290匹)から大幅に増加。増加要因として「14年度から開始した森林域でのノネコ捕獲対策の効果も一定規模あった」とする一方、「依然としてイヌ・ネコによる捕殺や交通事故が課題」と指摘する。

 同島内におけるクロウサギの分布域は天城町と徳之島町の森林や辺縁部が中心だが、環境省は12年度から自動撮影カメラによるモニタリング調査を本格化。その結果、21年度に犬田布岳の山頂付近で約7年ぶりに生息確認して以降、毎年継続して生息を確認しているという。

 今回死亡個体が確認された地点の周辺ではネコが確認され、近隣の自動撮影カメラにもネコの姿が撮影されていた。

 今後の保護対策として、町内をはじめ島民に「町の飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例にのっとった適正飼養。イヌについても野山への逸脱を避ける適正飼養」を訴え、「伊仙町内の各種道路でも今後、クロウサギの出没が予想されることから路面に注意して、生きものに優しいゆっくりとした運転を」と呼び掛けている。