サシバが伝える豊かな自然

写真展では撮影者の与名正三さん(左)がガイドを務める(22日、奄美市名瀬)


樹林上部でカラスを攻撃する暗色タイプのサシバなど貴重な写真(与名さん撮影)が出展されている

与名さん写真展「多様性を知って」
アマホームPLAZA28日まで

 宇検村生勝出身の野鳥写真家、与名正三さん(72)の写真展「風とひかりの中で~奄美で暮らすサシバの魅力~」が22日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で始まった。サシバが飛翔する姿や、縄張り争いなど生態を捉えたほか、奄美大島各地の情景も伝わる作品38点が出展されている。28日まで。

 宇検村企画観光課が主催。サシバを保護する啓発活動の一環とともに、2025年秋に同村で開催予定の国際サシバサミットへの機運醸成を目的に企画された。

 サシバはワシやタカが仲間の猛禽(もうきん)類で、環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に指定。奄美大島では冬の渡り鳥として知られ、2021年の全島調査では約2000羽の越冬が判明している。

 写真展では22年に撮影された「タカ柱」(上昇気流に乗る群れの様子)をはじめ、今年にかけて宇検村や龍郷町、奄美市などで撮影された作品を展示。昆虫やトカゲを捕食する様子やソテツやヒカンザクラ、海上を背景にした姿も映し出されている。

 会場でガイドも務める与名さんは「サシバだけではない植物連鎖を捉えた写真を通して、奄美の生物、環境の多様性を知っていただければ」と話した。

 奄美市名瀬の通訳案内士、上原敏男さん(73)は「サシバを案内するための勉強として来場した。写真、説明を通してサシバの生態を知るとともに、奄美の自然の豊かさを改めて知ることができた」と話した。