防災教育公開研究会

約70人の参観者を前に、防災対応について研究発表した児童(25日、戸口小学校)

「自分の命を守る行動を」
龍郷町・戸口小 児童が発表

 龍郷町の戸口小学校(森智子校長、児童35人)は25日、「防災教育公開研究会」を同校体育館で開催した。地震・土砂災害時の対応などについて、研究を重ねてきた児童の発表が公開授業として行われ、参観した教育関係者や保護者などによる授業研究会、ワークショップなどもあった。約70人が参加した。

 防災授業は、2022・23年度文部科学省委託「学校安全総合支援事業」としての取り組みで30時間実施。公開授業は28時間目となる。

 同校のある戸口地区は標高が低く、10~11年に発生した奄美豪雨などの被害もあり、奄美群島で唯一モデル拠点校として選ばれた。

 開会にあたり碇山和宏・同町教育長は、「校区内は、豪雨災害で2つの川が氾濫(はんらん)、被害が出た。高台が少なく、昨年行ったアンケートでも82・9%が不安と答えている。児童が主体的に行動できる実践教育は有意義」とあいさつした。

 高学年の防災授業を担当した貴島由香教諭(49)が研究発表。主題を「命を守る行動がとれる子どもの育成」とした理由を、危険を理解・予測して、状況に応じた行動を取れるようになることと説明。

 津波を想定した垂直避難、家族との事前の話し合い、防災の専門家との連携など、自助・共助・公助の視点を持たせる取り組みの工夫などを話した。

 公開授業では、5・6年生が「土砂災害・洪水」と「地震・津波」の2グループに分かれ発表。危険な場所の把握、対策工事、前兆現象、直角・垂直避難などについて報告した。

 5年・山口莉央さん(11)は、「高齢者30人にアンケート調査した。地震・津波に対する不安の声が多かった。昨年から災害について調べてきたので、能登半島地震のニュースを見るのがつらい。実際に遭遇したら、自分の命を守りながら、近くに住む祖父と逃げる」と話した。

 引き続き、参観者による授業研究会が行われ、低学年への理解を進める難しさなどの指摘があった。貴島教諭は、「残り2時間で児童とともに考えたい。1人で考えられない子どももいる。話し合いの中で共有していく」と方針を示した。