ノロウイルス原因の食中毒

県が作成したノロウイルス食中毒予防を啓発するチラシ

奄美で連続発生 調理従事者から食品介し感染か
冬場発生しやすく 手洗いなど予防徹底を

 昨年12月に1件、今月に入り2件とノロウイルスが原因の飲食店での食中毒が奄美で連続して発生している。原因の食べ物は特定されていないものの、調理従事者から食品を介しての感染とみられており、せっけんを用いて手指を十分に洗浄するなど関係機関は予防法の徹底を呼び掛けている。

 食中毒は、夏場は細菌性、冬場はウイルスによる発生が多く、重篤化しやすいのは細菌性とされている。ウイルスによる食中毒の多くがノロウイルスによるもので、11月~3月に多く発生する。

 奄美では年末年始に発生したが、県生活衛生課の発表によると、12月が奄美市名瀬、1月が喜界町と和泊町の飲食店で、保健所別では名瀬管内2件、徳之島管内1件。共通するのは利用者と料理従事者の便からノロウイルスが検出され、遺伝子型が一致した。

 ノロウイルスは「カキなどの二枚貝に多い」とされているが、今回の発生では残っていた食品が少なかったこともあり、原因の食べ物は特定できていない。いずれも従事者からウイルスが検出されていることから、従事者にウイルスが付着し、食品を介して広がったとみられる。

 嘔吐(おうと)、下痢を主な症状とするノロウイルスなどの感染性胃腸炎は、県のまとめによると定点あたり報告数が今年に入り増加傾向にあり、名瀬保健所管内でも増加している。同保健所は「症状が出ていない健康な状態でも保菌している可能性があり、感染を防ぐため、食べ物を提供する飲食店などの調理従事者は手洗いの徹底など注意してほしい。手洗い後、共通のタオルを使うと感染することから、別々にしたり、紙タオルの使用を」と指摘するとともに、症状がある場合は調理しない、調理室に入らない対応を求めている。

 飲食店だけでなく高齢者などが入居する福祉施設、家庭でも予防法の徹底が必要。保健所は「新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザ同様に5類に引き下げられたことで、感染症に対する気の緩み、油断もあるのではないか。管内の市町村とも連携して予防の取り組みを啓発していきたい」としている。

 県ホームページによると、ノロウイルスは、ウイルスの一種で、直径が25~35ナノメートル(1/100万ミリ)と非常に小さい病原体。人の腸管で増殖し、24~48時間の潜伏期間後、症状を引き起こす。感染経路は▽食品から人へ=ノロウイルスに汚染されたカキなどの二枚貝を生、あるいは十分に加熱せずに食べた▽人から食品を介して=ノロウイルスが付いた手や器具で調理したために食品が汚染され、それを食べた▽人から人へ=ノロウイルスが含まれた感染者の便や嘔吐物が手に付き、口に入った―などがある。