「さくらまつり」にぎわう

里見海運産業の名誉会長だった里見弘壽さん(大和村大棚出身)が寄贈し現在、満開に咲き誇っているヒカンザクラ


矢之脇自治会が開き、にぎわった「さくらまつり」

名瀬・矢之脇自治会
里見弘壽さん寄贈のヒカンザクラ満開

 奄美市名瀬の矢之脇自治会(榊雄二会長、197世帯)は28日、自治会内にある公園で「さくらまつり」を開いた。里見海運産業㈱の名誉会長だった里見弘壽さん=2021年1月死去=が寄贈したヒカンザクラの苗木を自治会で管理して育て現在満開。咲き誇ったサクラを楽しみながら余興などでにぎわった。

 榊会長によると、公園近くの高台に自宅がある里見さんから寄贈があったのは17年11月。8本の苗木は親指ほどの大きさだったという。小高い山だった公園に面する斜面(山ののり面)の段上部分に苗木を植樹。里見海運所有の牧場から取り寄せた肥料を施肥するなど自治会で管理し大切に育て、弘壽さんの気持ちに応えた。

 榊会長は「植えて2年後から開花するようになった。コロナ禍で『さくらまつり』開催を控えることもあったが、再開でき弘壽さんも喜んでいるのではないか。今年は例年より満開になるのが早い」と語り、以前は夏の納涼大会だった自治会の年間行事を自治会会員の高齢化もあり、現在は「さくらまつり」を年間行事に今後も継続していくという。

 会長として6期目の榊さん(73)。掲げる自治会スローガンが「結いの心で地域づくり」。この日も午前中の早い時間帯からテント設営や余興のカラオケを楽しむための音響機器の準備に多くの会員が協力。気温が低い冬場のため温かい食事を提供しようと炊き出しは婦人部が担った。稲田ヨシ子部長は「豚汁とおにぎりを130食分準備した。材料の買い出しから部員の協力ですることができ、みそピーナツやサラダ和えなど差し入れも頂いた」と話し、自治会の一体感を伝えた。

 開催当初は曇天で冷たい風が会場となった公園内を吹き抜けていたが、次第に青空が広がり日差しがヒカンザクラの緋色の花を照らした。弘壽さんの妻の美和子さん(85)も参加。炊き出しの食事を味わいながら、正面にサクラを見据えてにぎわう様子に「うれしい」と笑顔を見せた。