専門分野からの質問が相次いだ市長とのふれあい対話(27日、奄美看護福祉専門学校)
奄美市は27日、「市民と市長のふれあい対話」を同市名瀬小湊の奄美看護福祉専門学校で行った。学生を対象にした対話は初めてで、参加者は医療を学ぶ立場から、同市内の小児科・個人病院などの医療体制、子どもの高額療養費の「現物給付」を早期に求める意見など、実習や生活を通しての要望、困り事などの意見を投げ掛けた。看護学科の1年生38人を含む同地区の住民約50人が参加した。
ふれあい対話は、安田壮平市長のマニフェストの一つで、地域住民の声を直接聞き、市政に反映させる目的で2022年から実施している。市内一巡となる8回目のこの日は、2部構成で行った。
1部は、古見方地区(小湊、名瀬勝、崎原、前勝、西仲勝、西田、伊津部勝、朝戸)から8人が参加。放置された家屋や畑の利活用、地産地消の農作物の販売への補助、小湊小学校の存続を危惧する声などがあった。
奄美野鳥の会の元会長で西仲勝在住の岩元さよ子さん(64)は、「毎朝散歩する2㌔の範囲で、151種の野鳥を確認した。遊休地をなくし整備すれば観光資源になる」と話し、安田市長も関心を寄せていた。
引き続き行われた2部には、同校学生や地元住民が参加。安田市長が23年度の予算概要を書面で示し、「稼ぐ地域づくりに力点を置いている」と説明、人手不足の医療・介護・福祉分野の人材を輩出している同校への期待を述べた。
同市内の医療体制についての質問に安田市長は、「医師の高齢化や専門職の確保が難しく、現状維持が難しくなっている。大病院だけでは成立しないので協議を進めている」と答えた。
30歳代のがん検診補助制度導入を訴えた馬渡太尊(まわたり・たいそん)さん(28)は、「早期発見は医療費削減につながる」と、東京で医療機器メーカーに勤務した経験などから、「若年層からの受診は、健康や検診への意識付けにもつながる。踏み込んだ政策をとってほしい」と話した。
会場で直接回答できなかった要望・質問は、同市のホームページ上で後日回答がある。22年度名瀬・笠利・住用地区、23年度名瀬地区の回答は既に掲載済み。
また、公式LINEをインストールすると、道路などの危険箇所を直接写真で知らせる機能があり、担当課が対応にあたる。