天然の塩づくり復活

火災から復旧し、「打田原のマシュ」づくりへ釜でのたき上げが再開された
仮復旧を果たした「塩小屋」

31日から作業開始「打田原のマシュ」
火災で全焼、建物仮復旧

奄美市笠利町の打田原(うったばる)集落では、集落の前面に広がるエメラルドブルーの海から海水をくみ上げての天然の塩づくりが行われてきたが、昨年10月末の火災で「塩小屋」が全焼した。根強い人気に応えようと復旧作業が進められ、建物が仮復旧。31日から本格的に塩たきが始まり、間もなく「打田原のマシュ(真塩)」が復活する。

天然の塩づくりが再びできるよう取り組んでいるのは和田昭穂さん(91)。火災があったのは昨年10月31日で、塩小屋からの出火により、木造(一部鉄骨)の建物1棟(約80平方㍍)を全焼したが、けが人など人的被害はなかった。

塩小屋の復旧に向けて和田さんは業者に作業を発注。降雨や強風の関係で建物の建築作業は中断が多く、計画通りに進まないものの、屋根や壁の設置を急ぎ塩づくりができるまで仮の復旧を果たした。「商品の在庫がなくなったこともあり、作業再開を急いだ。応急処置」と和田さん。

海水をたき上げる釜は火災の影響を受けることなく残ったが、周辺をコンクリートで覆い防火対策を施している。たくための燃料は環境への配慮からこれまで通り木材を使用。試したきを2、3日行った後、作業を本格化させた。1回の作業で40㌔の天然塩が出来上がるが、3日ほどかかるという。

商品は島内のスーパーのほか、奄美空港の売店などに卸しており、「味がまろやか」として直接の注文・購入も多い。和田さんは「個人での取り組みだが、塩づくりの作業は任せている。じっくりたき上げることでミネラル分が豊富。評判がいいだけに続けていきたい」と語った。

塩づくりで必要な海水は目の前の打田原ビーチからくみ上げたもの。純白の砂で自然ろ過された海水を、砂の下に通したパイプで引き込み、ポンプで塩小屋までくみ上げて使用している。打田原の美しい海が育んだ〝結晶〟と言えそう。