与論町で海洋教育フェア

与論島の課題や魅力を発表した児童ら(30日、与論町)

地域の課題や魅力発表
「与論の水は健康にいいの?」テーマも

【沖永良部】島の魅力や課題について考える与論町海洋教育フェア(同町海洋教育推進協議会、同町教育委員会共催)が1月30日、同町砂美地来館であった。発表テーマは、島の水の安全性や観光振興策、方言の継承など八つ。登壇した児童生徒らは各テーマについて調査し、導き出したアイデアや答えを発表した。

同町では、国の認可を受けた独自の教科「海洋教育科『ゆんぬ学』」を町内全小中学校に設置。高校からは、小中学校での学びを発展させた総合的な探究学習「ゆんぬ」の時間を設け、子どもたちの主体性を高める取り組みを行っている。海洋教育フェアは2020年度にスタートし、今回で4回目。

観光パンフレット作りに挑戦した茶花小6年生の児童らは「今まで当たり前にあったものが、貴重で珍しいと気付くことができた」と述べ、星空や十五夜踊り、食べ物などの魅力を紹介した。

与論高校サイエンスキャンプチームの2人は、「奄美群島の水道水の地質による違い~与論の水は健康によいのか」をテーマに、東京大学大気海洋研究所で行った研究成果を報告。与論島のほか、奄美大島、喜界島、沖永良部島の水を採取し硬度を測定した結果、「日本平均と比べると、奄美大島は平均程度で、喜界島と沖永良部島、与論島は硬度が高い」と説明。また、過去の論文にあった「健康によい水指標」を引用し、島内の9地点で採取した水を検証。「ほぼ全てが指標の基準値を上回っていたことから、与論の水は健康によいといえる」と述べた。

与論高校1年の4人は、ユンヌフトゥバ(方言)の継承について発表。若い世代に人気のあるインスタグラムやTikTok (ティックトック)に注目し、日常会話を方言で再現した再生時間の短いアニメーション動画の制作に挑んだ。完成作品を披露したメンバーらは「日常生活に方言が浸透するために、会話や遊びを通して親しみながら学べる環境をつくりたい」と話した。

このほか、海の環境問題やサトウキビ振興策、保育士不足の解消、子育て環境の充実などをテーマに発表があった。

講評した鹿児島大学の藤枝繁特任教授は「地域が抱えている問題を子どもの視点で大人に説明できているところが素晴らしい。夢を語ると、周りの人が応援してくれる。小さな歩みでもいいので、チャレンジを続けてほしい」と呼び掛けた。