選果場利用で銘柄確立

「奄美たんかん」の集出荷開始を告げるはさみ入れ式。銘柄確立へ奄美大島選果場利用が呼び掛けられた(1日、宇検村石良の泰山果樹園で)

「奄美たんかん」はさみ入れ式で呼び掛け 宇検村で開催
「スクラム組み同じ方向へ」

 2023年度産「奄美たんかん」はさみ入れ式(JAあまみ大島事業本部主催)が1日、宇検村石良(いしら)の泰山農園(泰山武人園主)であった。今期タンカンは例年より果芯(かしん)の開きが早く早熟傾向にある中、適期収穫の喚起とともに、奄美大島産の銘柄確立へ高品質のタンカンを安定して島外などの消費者に届けるため、品質保証可能な光センサーが設置された奄美大島選果場の利用が呼び掛けられた。

 生産者や県・市町村の行政機関、JAの関係者が出席。夜間や早朝にかけて降雨があり天候が心配されたが、日差しが降り注ぐ抜けるような青空の下、特産果樹・タンカンシーズン到来を告げるはさみ入れ式となった。

 JA生産部会連絡協議会専門果樹部会の大海昌平会長があいさつ、「今年度産は糖度・クエン酸の状況から高品質のタンカンが生産されており、選果場を通して消費者へ届けよう。JAの取り扱いは共販・委託選果合わせて約250㌧だが、さらに上乗せし270㌧が達成できるよう生産者一人一人の協力をお願いしたい。肥料・資材高騰も単収アップでクリアできる。努力で乗り越えていこう」と呼び掛けた。

 地元・宇検村を代表して元山公知村長、行政機関を代表して大島支庁農政普及課の川越尚樹課長が来賓祝辞。この中では消費者に信頼・支持される産地へタンカンの銘柄(ブランド)確立が取り上げられた。「かんきつの中でタンカンの味は一番」「タンカン産地としてポテンシャル(潜在力)は鹿児島県が日本一であり、その中でも面積が多い奄美大島が県内一。しかし品質がばらばらでは産地として信頼されない」として、▽今年度産は「裏年」により若干減だが、それでも奄美群島全体では約1100㌧の生産量(うち奄美大島は約7割の780㌧)が見込まれる▽どの生産者のものを食べても奄美大島産タンカンはおいしいとなるよう、味のぶれのない銘柄確立へ選果場を利用すればJAの取り扱い量は、生産見込み量との差を埋めることができる▽インフラ(奄美大島選果場)はある。行政も利用促進のための支援に取り組んでおり、生産者・行政機関・JAがスクラムを組み同じ方向へ―との呼び掛けがあり、銘柄確立の手段が選果場利用と強調された。

 はさみ入れ式が行われた果樹園の園主・泰山さん(68)はタンカン栽培に取り組み10年目。それまで土木関係の仕事に従事していたが、父親が所有していた畑の園地造成に着手し就農。樹木でユスやアデクを防風樹として整備(防風垣)後に、「村内で長く栽培が続いている」としてタンカン作付けを選択、現在の面積は70~80㌃(210本)。今期の生産量は約2㌧を見込んでおり、全てJAに出荷する。

 泰山さんは「なかなか量・質が安定せず、JAなどの技術指導員のアドバイスを受けながら試行錯誤を繰り返している。JA共販は選果場を利用するためであり、出荷する生産者、購入者の安心につながる。利用にあたっての行政の支援はありがたく、これからも継続をお願いしたい」と語った。