与論事例報告で最優秀賞

最優秀賞を受賞した大島支庁沖永良部事務所農業普及課・田中技術専門員の発表

耕畜連携「WinWinの関係」作り
普及指導活動成果発表会

 【鹿児島】農業に関する2023年度普及指導活動成果発表会が2日、鹿児島市のサンロイヤルホテルであった。県内の農業に関する6課題についての事例発表があり、奄美関連では「与論島における地域資源を生かした耕畜連携の確立」と題して、大島支庁沖永良部事務所農業普及課(与論町駐在)技術専門員の田中慶氏が発表。審査の結果、最優秀賞を受賞した。

 県内の農業普及指導員ら約220人が一堂に会し、日頃の活動の成果を発表。活動の在り方などについて考え、普及活動の更なる高度化を図るために毎年開催されている。

 田中氏の発表によると、近年与論島では生産牛とサトウキビが主幹品目となっている。サトウキビ農家は土づくりが進まず、労力不足で管理作業の遅れが目立つ。生産牛農家は近年、飼育頭数が急激に増える一方で、家畜ふん尿の有効活用や自給粗飼料の確保が不十分であることに加え、敷料が不足し堆肥(たいひ)の腐熟が進みにくく、品質が安定しないなどの課題があった。

 双方の課題を解決すべく、3月にサトウキビを収穫した後のほ場に飼料となるスーダングラスを作付け。生産牛農家は自給粗飼料を確保し、ふん尿を利用した堆肥によってサトウキビ栽培の土作りに取り組んだ。これにより粗飼料面積が拡大し、サトウキビの増収や経費削減につながった。また雑木の木くず化により、生産牛の敷料増産と堆肥の品質向上が図られた。田中氏は「耕畜連携により、サトウキビ農家も生産牛農家も双方WinWinの関係が生まれた。今後は農業全部門が連携し、更なる耕畜連携を進めて生産性の向上を図り、農業の稼ぐ力を引き出していきたい」と話していた。

 発表会では、大島支庁農政普及課技術主幹兼係長の松尾至身氏が昨年11月にあった農業普及活動高度化全国普及大会で農林水産大臣賞を受賞した「奄美大島の多様な人材を生かしたタンカン産地のアップデート」についての特別発表もあった。