高円寺で前山真吾さんライブ

久しぶりのシマ唄ライブに沸く会場

シマッチュ、シマ唄ファンで満席、熱気に

 【東京】奄美在住のシマ唄唄者、前山真吾さんのライブが、昨年の11月、東京高円寺の「座・高円寺2」で開催された。CD「AMAMISM(アマミズム)」の発売を記念したもので、コロナ禍以来の久しぶりのシマ唄のライブに、会場は待ち望んでいたシマッチュ、シマ唄ファンで満席、熱気に包まれた。

 新しいアルバムは、シマ唄を大事に語り継ぎ、それを後世にも伝えたいと、現代風に他の楽器も参加して作られた。

 この日は1部に、関東で活躍している牧岡奈美さん、里歩寿さんが登場。三味線に乗せ、朝花節、塩道長浜節、朝別れ節など、正調シマ唄を披露した。2部に前山さんが登場、ギターに渥美幸裕さん、尺八に小濱明人さん、パーカッションに仙道さおりさん、フルートに西平せれなさんを迎えてCDに収録された曲を次々と披露した。三味線にプラスされた楽器どれもがシマ唄と絶妙に絡み合い、優しく包み、新しい息吹が吹き込まれたシマ唄が会場に広がっていった。

 前山さんの相方を務めた向珠理さんは、祖母の安原ナスエさんの懐かしいシマ唄を受け継ぐ。「東京では初めて」と話していたが、堂々としたステージだった。

 アンコールに、全員参加の一切り朝花、六調が鳴り響くと客席も総立ちで踊り、にぎわった。

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 公演後前山さんに聞いた。

 ―今回取り組んだきっかけは。

 「自分は奄美のシマ唄の古典の形にすごくこだわってきた。もちろんこれからも大事にしていくが、一方で後継者を育てるためには新たな取り組み、新たなシマ唄の表現も必要かなと思っていた。今回アレンジに関わった、渥美さんと出会うきっかけがあり、思い切って一緒にやってみようかと、今回のCDが実現した」

 ―ライブをやってみてどうだったか。

 「正直、不安が大きかった。新しい楽器やミュージシャンとのコラボレーションは、本当のシマ唄好きな人には抵抗があるのではないか。僕の思いを理解してくれるのだろうか、と。ふたを開けると、いい意味で裏切ってくれた。高円寺が奄美の雰囲気に包まれたのが、ありがたかった。間違ってなかったのかなと思えた」

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 ライブ会場に訪れた人たちは、口々にコラボレーションの素晴らしさを語っていた。「『いきゅんなかな』がギターで流れてドキッとした」、「尺八、フルートのシマ唄も素敵だった」などの感想が聞かれた。