密猟・密輸対策協議

希少種の保護に向けてオンラインで協議された「密猟・密輸対策連絡会議」(6日)

監視体制の継続確認
奄美空港からクワガタ類持ち出しも

 奄美群島地域の希少野生動植物種の違法採取、島外・国外への持ち出しの各対策実施を目指す「密猟・密輸対策連絡会議」が6日、オンラインで会合を開いた。官民各機関から35人が出席。2023年度に起きた奄美大島、徳之島での違法採取、盗掘の事案が報告され、夜間の合同パトロールなど監視体制の継続を確認した。

 連絡会議は希少種の保護に向けた関係機関の連携強化を図り、各対策案の促進が目的。2019年3月の初会合以来20、23年と開催。環境省ほか県や税関、警察、海保、航空会社など全14機関で構成されている。

 23年度の事案として、徳之島の伊仙町で昨年9月、島内3町の保護条例で採取が禁じられているラン科ダイサギソウの採取跡を確認。また、奄美空港ではクワガタ類の持ち出し事案が35件あったと報告(昨年12月末時点)。違法行為ではないが、大量な持ち出しの場合、生態系へ影響を与える懸念を示した。

 希少種の密猟・密輸防止に向けた取り組み実績などの協議は非公開。同省によると昨年春と夏に行われた、奄美大島5市町村を対象にした夜間時などのパトロール実績が報告され、引き続き奄美群島国立公園内の昆虫類を対象としたトラップ(わな)の違法設置も含めた監視を続けるとした。

 同省沖縄奄美自然環境事務所野生生物課の内野祐弥自然保護官は「密猟・密輸の事例は一つの組織では対応できない。今後も各役割を担う複数の機関と幅広く各事案に取り組んでいければ」と話した。