特定空き家を代執行で除去

空き家対策などについて協議した市空き家対策協の委員ら

市初の認定で撤去実施 奄美市空き家対策協
危険空き家の適正管理を推進

 奄美市空き家対策等協議会の今年度初会合が8日、市役所であり、市として初めて「特定空き家」の認定と略式代執行(行政代執行)による危険空き家の除去を実施したことなどが報告された。また、会長に県建築士会奄美・大島支部長の伊集院平應氏を再任、同市の2023年度空き家相談・調査状況や、市の助成事業、居住支援などについて意見交換した。

 同協議会は、市と県建築士会、県司法書士会、弁護士、大島地区消防組合、名瀬、住用、笠利3地区の代表らで21年2月に組織。市が策定した空き家対策計画に沿って、空き家の適正管理と定住促進のための利活用などについて、毎年度1回程度、協議している。今回は、昨年2月以来、約1年ぶりの開催となった。

 特定空き家は、適正な管理が行われず、放置すれば倒壊などの恐れがある危険な空き家などについて、「空家等対策の推進に関する特別措置法」や市条例に基づき、市が策定し認定するもの。市は昨年4月、この認定基準を策定、同市名瀬井根町の空き家について7月、同市初の「特定空き家」に認定した。

 この空き家は、17年頃から周辺住民から倒壊の危険性などについて相談が寄せられていたもので、外壁や屋根の一部が崩れるなど危険な状態で放置されていた。すでに相続放棄されており、適正な管理が困難な状況となっていたことや、倒壊により周辺に危険が及ぶ可能性が高いことから、昨年8月10日、略式代執行により市が家屋の撤去を行った。

 23年度の空き家に関する相談・調査件数は41件(1月現在)。地区別の内訳は、名瀬34件、住用3件、笠利4件。うち除去に至ったのは3件(名瀬1、住用2)、改善(修繕)が9件(名瀬8、笠利1)だった。

 市が家屋の撤去費用の3分の1(上限30万円)を助成する助成金については、23年度16件の申請があり、審査の結果8件について交付が決定した。

 市と県宅建協会との連携協定に基づく、空き家所有者と不動産事業者とのマッチング事業では、所有者情報が確認できた780件について、情報提供同意書などを送付。うち宛先が不明だった312件を除く468件のうち、85件の回答があり、情報提供への同意は27件のみだった。