県当初予算案知事会見

稼ぐ力と人的基盤など整備
「コロナ延長上でさらに強化」

 塩田康一知事は9日、2024年度予算編成に伴う記者会見を開いた。一般会計予算案の規模は前年度比5・5%減の8405億1000万円で、コロナ禍前の水準に戻った。2024年度当初予算案について塩田知事は「かごしま未来創造ビジョンに掲げる施策を着実に推進し、〝誰もが安心して暮らし、活躍できる鹿児島〟を実現する予算として編成した。稼ぐ力と将来の人的な基盤を整備していくための予算だ」と述べた。

 基本的な経費の規模を示す一般会計は8405億円で、新型コロナに関連する予算、国体関連事業が大きく減少した。原油価格・物価高騰などの総合緊急対策を講じながら、基幹産業の「稼ぐ力」の向上、人材の育成・確保、子育て支援、多様で魅力ある奄美・離島の振興などの七つの柱に重点を置いており、塩田知事は「持続可能性を維持する取り組みを行いつつ、重要施策には最大限投資するメリハリの効いた積極的な予算編成を心掛けた」と説明した。

 基幹産業、企業の「稼ぐ力」の向上については「これまでコロナ対策だけをやっていて、ゼロからということではなく、これまでの取り組みをさらに強化するものだ」と考えを示した。子育て支援については、産後ケア、学童保育、未就学児への医療費現物給付方式の導入などの事業に触れ、「国でも子ども家庭庁ができたり、子ども大綱ができたりと全国的に動きもある中で、それぞれのライフステージごとに総合対策を行っていくということで整理し、パッケージ化した」と述べた。

 奄美にかかわる事業では、子育て支援分野で離島地域子ども通院費支援事業が新設。「地理的状況や医療機関などの偏在により、本土と比べて経済負担が大きくなっている。受診にかかる旅費を支援するよう要望もあり、交通費を助成する市町村を後押しするものだ」とした。新規のかごしま〝推し旅〟誘致促進事業では「与論でいえば百合ケ浜、沖永良部ではケイビングなどが体験型メニューにできるのではないか」と薦めた。

 県債残高の見込みは、前年度の1・1兆円を下回る1兆383億円で、基金残高は251億円で250億円を下回らない水準を維持しつつも、財政状況については「自主財源の比率も高くなく、災害も多い地域。離島も多く、県有施設の老朽化が進むなど、そういった中では予断を許さない状況だ」とした。最後に予算編成の自らの評価について問われた塩田知事は、「コロナ禍においてもいろんな施策を行ってきた。その延長上でさらに強化する予算にできたのではないか」と話した。