24年度県予算案奄美関係

輸送コスト支援事業は沖縄向けなども対象になるなど拡充される(名瀬港で資料写真)

新規に次期奄振計画策定
輸送コスト支援 沖縄向けなど拡充
観光マスタープラン 世界自然遺産登録受け改訂

 県の2024年度当初予算案の新規・拡充事業で奄美群島関係では、3月末で期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長を前提に、次期奄美群島振興開発計画策定事業に取り組む。農林水産物等輸送コスト支援事業は新たに沖縄向け出荷も対象になるほか、航空路運賃の軽減は鹿児島―奄美群島間だけでなく、沖縄間も対象とする。

 次期奄振計画策定事業は127万2千円を計上。新たに5年間延長となる改正奄振法の成立を受けて国が基本方針の策定に着手することから、県は国の定めた同方針を基に奄美群島の自立的発展を図るため、法に基づく計画策定に取り組む。離島振興課によると、前回は5月に基本方針が策定されており、今回もそれを踏まえて進めていくが、県民の意見を反映させるため、意見公募(パブリック・コメント)も行う。また、成長戦略推進交付金は8億739万1千円を計上。国の制度改正に伴う教育文化振興などの取り組みも支援する。輸送コスト支援事業(5億8746万4千円)は沖縄向け出荷、畜産品も対象にするほか、1市町村3品目までだった原材料(配合飼料や段ボールなど)関係は5品目まで拡充される。

 5125万2千円を計上している奄美世界自然遺産保全・活用推進事業の新たな取り組みは、奄美群島持続的観光マスタープラン等の改訂に向けた調査・検討。奄美世界自然遺産室によると、現在の同プランが登録(世界自然遺産)前の16年度に策定されたことから、地元と一体となって登録後の課題を整理した上で保全と活用の両立を図るためのプランにしていく。

 奄美でも活用されている離島における電気自動車等購入支援事業(1460万1千円)は1台あたりの補助要件を拡充するもの。エネルギー対策課によると、23年度30台を倍増、60台までが補助対象となり離島での普及を促進する。

 このほか奄美関係の主な事業内容は次の通り。

 かごしまの子ども・子育て応援事業(新規・1億2779万9千円)=離島地域子ども通院費等支援事業も計画。島外の医療機関への通院等が必要となる離島地域の子育て家庭にかかわる経済的負担の軽減を図るため、子どもの通院等に要する交通・宿泊費の助成を行う市町村に対して、費用の一部を助成。

 公立学校情報機器等整備費補助事業(新規・7955万円)=鹿児島県公立学校情報機器整備基金を活用し、義務教育段階の公立学校における情報機器の更新等を円滑に行うため、共同調達等にかかわる会議体を設置し、学習者用端末の整備を行うとともに、市町村が行う整備の補助。

 希少野生生物調査事業(新規・900万2千円)=県内における絶滅危惧種の最新状況を把握するため、最新の知見を収集・分析した上で評価を行い、県レッドリスト等を改訂。

 離島空港の整備(12億1800万円)=航空機の安全運航を確保するため、徳之島空港等の滑走路端安全区域の拡張を行うとともに、奄美空港等の空港施設の機能保持・向上のための整備。

 奄美・離島地域の道路整備(45億1923万円)=実施箇所は県道伊仙亀徳徳之島空港線、東伊仙工区、国道58号おがみ山バイパスなど。

 奄美群島航路運賃軽減事業(拡充・2億6738万1千円)、同航空運賃軽減事業(同9億6802万7千円)=鹿児島―奄美群島間、奄美群島―沖縄間等の移動コスト負担軽減を図るため、群島の住民等を対象とした運賃に対し、一部助成。