天城町防災研修会に150人

自主防災組織の重要性を再確認した天城町防災研修会(円内は講師の土井氏)=10日、同町防災センター

初動の「自助・共助」を
自主防災組織の重要性再確認

 【徳之島】今年度第2回天城町防災研修会(町主催)が10日、町防災センターであり、瀬戸内町防災専門監の土井一馬氏(57)=元・海上自衛隊奄美基地分遣隊長=が「自主防災組織の必要性・役割・重要性」で講演。地震・津波など発災直後の人命救助など初動活動の「公助」は限界に達し、家族や近所住民など「自助」「共助」が約80%を担う現状も報告。初動対応の自主防災組織の確立、要配慮者対応、訓練継続の重要性なども説いた。

 自主防災組織の必要性や役割、重要性、自助・共助意識の向上、自然災害発生時に行動できる地域防災力の向上などが目的。町内の自主防犯組織や町消防団、町女性防火クラブ、町職員など関係者合わせ約150人が参加した。昨年9月に名瀬測候所の講師を招いた防災勉強会に続き今年度2回目の研修会。

 井上氏は、全国各地を飛び回った自衛隊災害救助派遣の模様を紹介。想定よりも早く津波が襲った能登半島地震の概要や防災クイズも交え、自主防災組織の必要性・役割・重要性、使いやすい天城町防災ツール(防災アプリ)などについても解説した。

 ちなみに、天城町に最も大きな被害をもたらす「奄美群島太平洋沖(南部)」地震は〝震度6〟を想定。最初の津波が徳之島空港周辺に到達する16分後まで同地域住民らの避難可能距離は「330㍍」と推測。

 その上で、東北・三陸地方に伝わる「津波てんでんこ」(地震が起きたら津波が来るので、肉親にも構わず、各自でてんでばらばらに逃げろ)の言い習わしも引用。「日頃から家族や周辺住民たちと避難の方法を話し合うことも重要」と強調した。

 過去の大震災の倒壊家屋などからの救助例は、①自力・脱出または家族による「自助」約67%②友人・隣人による「共助」約28%③救助隊による「公助」約2%。

 能登半島の先端に近い珠洲(すず)市三崎町・寺家下出地区(約40世帯90人)では、東日本大震災を教訓に毎年避難訓練を実施。その自主防災組織が機能し、高齢者や足の不自由な人を背負うなどして住民全員が5分で避難後、津波が到達した実例も紹介。自助・共助による初動の要とならざるを得ない「自主防災組織」の重要性を改めて強調した。

 ほか、同組織のつくり方、運営方法、集落区長や若い世代の行動力などリーダーの役割と重要性、活動計画の作成、非常持ち出し袋の普及、防災訓練の実施―などについてもアドバイス。質疑では、津波警報発表時の車両避難の渋滞防止対策など活発な意見があった。

 同町は今月25日に各集落の自主防災組織を挙げた防災訓練を計画している。