休廃業・解散、奄美は24件

 

 

23年県内 前年比47件増 代表者高齢化で決断

 

 

 東京商工リサーチ鹿児島支店がまとめた2023年に休廃業・解散した県内企業数は516件となり、前年比47件(10・0%)増加し、2年ぶりに増えた。経営者の高齢化で事業継続断念などが理由となっている。奄美は24件で、前年比4件減少。大島郡は減少したが、奄美市が増加した。

 産業別にみると、農・林・漁・鉱業、建設業、小売業、サービス業他が前年を上回った。最多は飲食業や宿泊業などを含むサービス業他で、166件(構成比32・2%)、次いで建設業119件(同23・1%)、小売業87件(同16・9%)、卸売業35件(同6・8%)など。最少は運輸業の3件(同0・6%)だった。

 休廃業・解散した企業の従業員数(判明分)は合計1581人(前年比1・4%増)で、2年ぶりに増加した。事業譲渡に伴う廃業・解散もあり、同支店は「全ての従業員が失業したわけではないが、休廃業・解散で1581人が勤務先の変更や離職を余儀なくされたことになる」としている。

 直前期の決算では、23年は企業の52・4%が黒字。赤字だった企業は前年比9・6?増の47・6%。黒字率は18年から21年まで減少が続き、22年は5年ぶりに上昇したが、23年は再び低下した。同支店は「新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ『5類』に移行し、経済回復にかじが切られたが、その後も各種資材価格高騰や人件費高など圧迫要因が多く、年間倒産件数も増加するなど影響を与えている」と指摘する。

 年齢別では70歳代が最多の87件(構成比41・6%)となり、全体の4割を超えた。60~80歳代以上で189社、構成比90・4%とほとんどを占めた。後継者不在のまま、代表者自身の高齢化による体力低下や事業意欲の減退などを理由として休廃業・解散を決断したとみられるという。「代表者が高齢である場合、体力低下や事業意欲の減退などもあり、事業継続を諦め、休廃業・解散の件数が増加する可能性がある」。

 市町村別件数では、最多は鹿児島市の255件、次いで鹿屋市31件、薩摩川内市24件など。増加が16市郡、減少が7市郡、同数が4市郡。奄美は前年比で奄美市が2件増加、大島郡は6件減少した。奄美市の推移をみると、20年の13件から21年11件、22年10件と減少が続いたが、23年は増加に転じた。