県立大島病院DMAT

能登半島地震の被災地での活動報告をした県立大島病院DMATの5人

「離島災害への備え考える機会に」
能登半島地震で被災地支援の活動報告
「臨機応変な対応求められた」

 災害派遣医療チーム(DMAT)として能登半島地震の被災地で医療支援活動を行った県立大島病院の医師や看護師らが13日、同病院で活動報告会を行った。奄美群島の自治体や消防、自衛隊、医療機関の関係者ら約60人がオンラインなどで参加。チームリーダーを務めた石畠彩華医師(33)は「現場では臨機応変な対応が求められた。派遣を通した実践経験を、今後の奄美群島の防災や有事への備えに生かしていきたい」などと話した。

 今回派遣されたのは、石畠医師のほか、看護師の山下千里さん(54)、清水由希子さん(46)、保枝将宗さん(32)と業務調整などを行う臨床工学技士の片平尚利さん(36)の5人。県内DMAT4チーム目として、1月22日に同病院を出発、23~24日の2日間、石川県穴水町で医療支援などを行った。

 石畠医師によると能登半島地震では、約1か月の間に全国から1000チームのDMATチームが派遣されたという。これは、2011年の東日本大震災(383チーム)や16年の熊本地震(466チーム)を大きく上回る数で、DMATの機動性の高さや高齢化率が高く、担い手の少ない被災地域への支援の不足が大きな要因とみられると分析した。

 5人は奄美空港から伊丹空港(大阪市)に向かい、同空港で医療資機材をレンタカーのキャンピングカーに積み込み、陸路で現地入り。派遣期間はキャンピングカーで寝泊まりしながら、支援活動に就いた。キャンピングカーを使用したことで、被災地での生活も、比較的快適に過ごせたという。

 一方、今回の活動では大雪に見舞われる中での現地入りとなり、計画の大幅な変更も強いられたという。清水さんは「現地に向かう途中、多くの倒壊家屋を目にした。道路には亀裂が入り、移動は危険を伴った」などと話した。

 石畠医師らは、救急の専門性から主に救命救急診療を担当したほか、男女混成チームということから施設入所者の入浴介助といった任務も担ったという。石畠医師は「被災者の半数は女性。男性のみのチームも多い中、男女混成が我がチームの特徴であり、強みとなった」と語った。

 また、今回の派遣については「奄美群島で災害が発生した場合、陸続きでない島外からの支援は容易ではない。一人でも多く災害医療に精通する人材を育成することが重要で、奄美群島の防災や有事の備えについて考える機会となった」と、その意義を指摘した。