海に向かって延びるアオウミガメの足跡と産卵巣(鞠山重子さん撮影)
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は13日、瀬戸内町・加計呂麻島の徳浜で、アオウミガメの産卵跡が見つかったと発表した。今年に入りウミガメの上陸・産卵確認は国内初という。
同会によると、例年、奄美大島でのウミガメの産卵は5月から7月が多く、2月の産卵は初めての記録。奄美大島南部の島嶼(とうしょ)部(加計呂麻・請・与路・須子茂離れ)ではアオウミガメの産卵が多く、「8月までは産卵が見られる」。白砂が広がる徳浜では、2005年12月11日にアオウミガメの子ガメの脱出(砂中で孵化(ふか)後に地上に出ること)を確認しており、「他の浜よりも特異な観察例が多い。冬季に北西の季節風が当たらない静穏な環境や高海水温の影響も考えられる」としている。
近くに住む鞠山(まりやま)重子さん(69)が今月10日朝、砂浜で海に向かって延びる2本の跡を発見。同研究会が分析した結果、足跡の形状や産卵巣に砂をかけた跡があることなどからアオウミガメの産卵跡と確認した。
鞠山さんは「痕跡を見つけたのは、ちょうど旧正月の日で、ラッキーさから今年はいいことがあるのではないかとうれしい気持ちになった」と語った。ウミガメが上陸・産卵しやすい環境を保つためパトロールに取り組んでいる鞠山さん。「モクマオウなど海浜部の植物の中には砂浜の下まで根が張り、産卵の際に邪魔になることから取り除いている。また魚具などの漂着物も多く、今回の上陸・産卵を契機に、ウミガメが産卵しやすい浜の環境づくりへ地域の関心が高まってほしい」と話した。
興会長は「ウミガメ産卵シーズンには各地の浜で調査員が巡視し上陸・産卵痕跡調査を実施しているが、近年、季節外れのアオウミガメ上陸・産卵例も見られることから、地域の方々の情報提供は貴重な情報」と感謝している。