奄美大島外来植物対策で優先度リスト公表

26種選定、4カテゴリー分類
適切防除へ記録・共有へ 環境省

 環境省は16日、世界自然遺産に登録されている奄美大島で外来植物対策を進めるにあたっての優先リストを作成し、公表した。特定外来生物の「オオフサモ」をトップに26種を選定し、積極的な防除作業で島内排除など四つのカテゴリーに分類している。

 同省によると、2024年現在、奄美大島に侵入している外来植物は383種が知られ、このうち「生態系被害防止外来種リスト」に掲載されている侵略的な外来種は73種に及ぶ。本来の生態系を保全するには侵略的外来種全てを排除することが理想だが、「現実的ではない」として現在、奄美大島に侵入・生育が確認されている特定外来生物を含む侵略的外来植物種を対象に、種や場所、緊急度合いによる優先度を定めることになった。

 昨年10月、環境省、県、奄美大島5市町村などの行政機関のほかNGO・NPOなどの関係団体が集まり、優先度を議論するための検討会を開催。侵入、対策の現状、課題について共有した後に優先度について議論。その後、検討会での意見を基に、さらに関係機関で検討を重ね、作成に至った。

 優先度のカテゴリー(基準)はA~Dに分類。この中では、▽A=積極的に防除作業を行い、島内からの排除を目指す9種(特定外来生物に指定されている種、侵略的な影響が危惧されている種のうち分布が限定されている種など)▽B=場所を限定して局所的な防除を進める6種(島内の各地に生育が確認されており、遺産地域、国立公園等の重要エリアへの侵入が認められ、防除地域を選定して早急に対策が必要)▽C=普及啓発等を通じて新たな拡散を防止する9種(低地部等に広域に侵入していることを踏まえ、外来種の問題を理解してもらう環境学習や普及啓発の一環として防除地域を選定して対策)▽D=情報収集に努める2種(奄美大島における生育情報等が不足しているため、情報収集を行いつつ、必要に応じて防除等の対策検討)―と分けている。

 作成された防除優先度リストは、奄美野生生物保護センターのウェブサイトで公開している。新たな外来種の侵入が確認されたり、既侵入種で影響がより深刻と判明することもあることから、リストは定期的に見直す方針。

 環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「外来植物の防除では多くがイベント的に行われ、継続されることなく、そのまま放置されることで元の木阿弥(もくあみ)という場合がある。適切な防除には記録を残し、その情報をみんなで共有して管理していくことが効果的。この地域では、この種の防除など目標を定めて対策を進めていくためにも優先リストを活用して取り組み、防除成果を共有することで根絶達成を目指したい」と語り、記録(データの蓄積)・共有・管理により環境省など行政機関だけでなく地域全体で効果的な対策が進むことを期待している。