4年ぶりに「徳之島から春一番」

長い列をつくったタンカン、バレイショのブース

瀬戸内町久根津出身の男性らと記念写真に納まる東洋子さんと東舞子さん(右端)

六調で大盛況となったステージ

特産品、シマ唄など満喫
約2万人でにぎわう

 【東京】奄美群島・徳之島の国内最大規模の物産展、徳之島から春一番「第9回『とくの島』観光・物産フェアin東京」が18日、渋谷区の代々木公園イベント広場で開催され約2万人でにぎわった。野外ステージではシマ唄なども披露された。来場者は、島の食材を使った料理や黒糖焼酎などを堪能していた。

 同イベントは、関東徳州会(徳之島三町郷友会=岡村隆文会長)が主催、徳之島の人口(2020年国勢調査で2万1803人)に匹敵する来場者が集った。岡村会長は「4年ぶりの物産展を大いに語らい、食べて、楽しんでほしい」と呼び掛けた。ほか、高岡秀規徳之島町長、大久保明伊仙町長、森田弘光天城町長(代読)らがあいさつした。会場には、塩田康一県知事も訪れ、来場者との記念写真に応じていた。

 33のテントが会場を囲むように並び、パパイアの漬物、蒸しジャガイモや多くの黒糖焼酎が販売された。喜界島出身の女性は「お目当てのヤギ汁はなかったけれど、おいしい」と、イノシシ汁を味わっていた。長蛇の列をつくったのは、島から運ばれたバレイショ「春一番」とタンカンのブース。タンカン1㌧は30分ほどで、3㌧のバレイショも午後には完売となった。

 JAあまみ徳之島事業本部園芸課の叶貴嘉(あつよし)課長は「タンカンは不作なので貴重です。春一番はレンジで5分、バターやイカの塩辛を載せるのがお勧め」と行列を見ながら満足そうに話した。

 野外ステージでは、MAYURA三界さん、あずままどかさん、禎一馬さんらアーティストが熱唱すれば、民謡日本一などに輝いた森田美咲さん、天城町出身の松山晃久さんがシマ唄を歌い上げ、汗ばむような陽気をさらにヒートアップさせた。

 そんな中で自らのルーツを探そうと、米国アラスカ州から来日した東(あずま)舞子さん(49)が東京在住の母・洋子さん(76)と共に来場。洋子さんの父親・東千良(ちよし)さんの葬儀(01年2月18日に87歳で死去)を機に、千良さんが徳之島と瀬戸内町久根津に縁があると判明し、その足跡を追うため、16日に神戸奄美会館を訪問、会館の関係者から2人の様子が東京在住の出身者へと伝えられていた。舞子さんは「16歳で上京した祖父は、島の事は一切口にしませんでした。でもルーツが分かり、よかった」。洋子さんも「命日に久根津や徳之島出身者に会えました」と笑顔だった。

 コロナ禍により、4年ぶりとなったイベントは、11年の東日本大震災の折、3町からバレイショを被災地に贈ったのをきっかけに、島からいち早く春を届けようと翌12年から開催されている。9回目の会場には、能登半島地震被災者への募金箱も設置されていた。