奄美市新年度当初予算案

一般会計321億8269万円
普通建設事業費伸び4年ぶり増 市税39億円、定額減税で減少

 奄美市は20日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比3・4%(10億4928万円)増の321億8269万円。認定こども園整備や奄美市斎場改修など大型事業の実施に伴い普通建設事業費が同21・5%(5億5079万円)と伸びたことや人件費、扶助費といった義務的経費増加などから、4年ぶりの増額予算となった。一方、歳入では政府の定額減税の影響により市税収入同4・2%(1億6967万円)減の約39億円。新たに延長される奄美群島振興開発特別措置法や新たな市総合計画に基づいた事業や子育て支援、労働力確保と移住促進のための住宅確保や空き家解消などを重点に取り組む。

 新年度予算の重点施策は▽持続可能に「かせぐ」地域づくり(8事業)▽安心して、豊かに暮らせる「守る」地域づくり(4事業)▽次世代を育む好循環を生み出す「育てる」地域づくり(5事業)▽市民に身近で頼りになる基盤づくり(5事業)―の4項目。

 「移・職・住」総合対策は、市内事業所が人材確保や就業環境向上を図るため、住宅などの整備、確保に対し支援するもので、事業費として1650万円を計上。奄振交付金を活用する。

 【歳入】自主財源は69億5448万円で歳入全体に占める割合は21・6%と、前年度当初比0・9%(6108万円)減少した。最も多いのは市税の39億369万円だが、40億を超えた前年度当初からは減少。主な要因は政府が新年度に実施する所得税3万円・住民税1万円の計4万円の定額減税。減税に伴う市税減少分は、地方特例交付金1億7831万円(前年度当初比1億6694万円増)で国が全額補てんする。

 依存財源は地方特例交付金の大幅増などもあり、同比4・6%(11億1036万円)増の252億2820万円で、歳入の78・4%を占めた。最も多いのは、地方交付税で同比3・3%(3億9950万円)増の126億1264万円。歳入全体の約4割を占めている。市債は大型事業が増えたこともあり、同比23・0%(4億4170万円)増の23億3785万円と、4年ぶりの増となった。

 【歳出】義務的経費は同3・0%(5億7875万円)増の200億1540万円で、歳出全体の62・2%を占めた。生活保護や児童手当などの扶助費は同2・0%(1億9244万円)増の98億7854万円と最も多く、次いで人件費が同5・7%(2億9207万円)増の53億9088万円、公債費が同2・0%(9424万円)増の47億4597万円。障がい者の介護給付や児童手当の拡充によって扶助費が伸びたほか、人事院勧告によって人件費が増加したことで、全体としても大幅な増額となった。

 投資的経費は3年連続で減少を続けていた普通建設事業費が、公共工事の増加により4年ぶりに増加。21年度当初予算以来の30億円台の予算規模となった。

 主な事業は▽住用地区認定こども園整備事業8412万円▽笠利地区認定こども園整備事業2億7011万円▽奄美市斎場改修事業5億1584万円▽第3建設残土処分場整備事業(名瀬大熊)2億円▽真名津川河川改修事業(国道58号おがみ山バイパス整備関連)1億9754万円▽ふれ愛の郷改修事業(笠利町)5730万円▽大川ダム改修事業1億2220万円―など。

 奄美市斎場改修は火葬炉の更新など斎場施設の大規模改修を伴うことから予算規模が大きくなった。

 このほか、市内在住のタレントIMALUさんと連携し市の魅力を発信する「情報発信強化事業」(50万円)、地域おこし協力隊1人を採用、空き家調査や市場流通などを促進することで空き家解消による住環境の総合対策を行う(1224万円)。

 一般会計と水道事業、下水道事業、国民健康保険事業などの特別会計を合わせた予算総額は同0・7%(3億1758円)増の436億5905万円で、前年度並みとなった。