救護ケナガネズミを放獣

天城町当部で救護したケナガネズミの幼獣が放獣された(環境省徳之島管理官事務所提供)

環境省・出没確認集落 粘着シート式わな「極力控えて」
徳之島では初の事例

環境省徳之島管理官事務所は、天城町当部で救護した国指定天然記念物のケナガネズミ(幼獣)を放獣した。徳之島では初の事例で、同省は出没が確認される集落では、屋外での粘着シート式わなの使用を「極力控える」よう周知を図っている。

同事務所の発表によると、放獣は今月6日。4日に住民の通報を受け、同地域の集落内でクマネズミ駆除用の粘着シート式わなにかかったケナガネズミを救護し、徳之島動物病院(徳之島町)に搬入。重大な障害などは見受けられなかったことから、粘着物の洗浄後、保護地付近の山林に放獣したという。

ケナガネズミは法令で保護されている生きもの。同省によると、クマネズミやドブネズミなど法令規制対象外のネズミ類を捕獲しようとして誤って捕獲してしまった場合や、殺鼠剤(さっそざい)などを他のネズミ類に用い誤って死亡させてしまった場合など故意でなければ基本的に罪に問われることはない。ただし、ケナガネズミが確認されている地域では「屋外での粘着シート式わなの使用は極力控えていただき、ネズミ用捕獲器(かご式わな)などを用い、さらにケナガネズミの入らない小さなわなを用いるなど、なるべくケナガネズミを傷つけない、捕獲しないための可能な範囲での配慮」を求めている。

同省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「奄美大島でも民家や工事現場などのほか、果樹園でも確認され、数が増えてきている。今年に入っては様子見の状況だが、ケナガネズミ出没が確認されている所では屋内外を問わず粘着シート式わなは使わず、誤捕獲を防ぐためにも小さなわなの使用を」と指摘する。

誤って捕獲した場合の連絡と同時に、個体の様子を確認できる写真撮影、捕獲場所記載の上、環境省メールアドレスに送信を呼び掛けている。

連絡先(環境省)は次の通り。

徳之島管理官事務所電話0997・85・2919、メールRO-TOKUNOSHIMA@env.go.jp 奄美野生生物保護センター電話0997・55・8620、メールRO-AMAMI@env.go.jp

 

メモ

ケナガネズミ 奄美大島、徳之島、沖縄島北部にのみ生息するネズミ科の動物で、国内で最も大きなネズミ。30㌢程度の長い尾の先端半分が白いことや、体に長い毛が生えていることが特徴。夜行性で樹上性が強く、木の実や昆虫類、カタツムリなどを主食としている。森が途切れている所では、電線や道路上を歩く様子がしばしば見られる。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)では国内希少野生動植物種に指定されている(環境省資料より)